目指せ普門館!?〜私立麗凰高校の挑戦〜

□6.espressivo【エスプレッシーボ/伊】
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翌朝早くルカはフランソワーズに起こされた。




「ルカ、おはよう。
もう起きて支度して。駅まで送るわ。」


「あ…おはようございます。
昨日はありがとう。」


「みんな起きてるわよ。一緒に朝ご飯食べましょう。」


「うん。」




昨晩泣いて、少し腫れぼったい目をこすりながらルカはリビングに降りてきた。
既に皆思い思いに朝の一杯を飲んでいた。




「おはようございます。昨日はお世話になりました。」




ルカがペコリと頭を下げると、ジェットがコーヒーを差し出した。




「よぉっ!おはよう。良く眠れたか?」


「ジェットおはよう。
うん、波の音が気持ちよくて、ぐっすり。」


「そりゃ良かったな。ホイ。」


「ありがとう。」




ルカはカップを受け取りながらキッチンのテーブルについた。
アルベルトがこちらを見る。




「佐藤さっさと食え。駅まで送るぞ。」


「えっ、コーチが送ってくれるんですか?」


「何だ。俺じゃ不満か?」


「いえいえいえいえ滅相もない!!
むしろ嬉しいです!!」




ムッとしたアルベルトに真っ赤になって首を振るルカ。
二人のやりとりに、その場にいた皆が苦笑している。




「あっ、そう言や今日も練習なんだろ?
聴きに行ってもいいか?」


「いいわね、私もルカの演奏聴きたいわ。」


「ええええっ!?
コココーチ、無理ですよねっ!ねっ!?」




突然のジェットとフランソワーズの発言にルカが狼狽えた。
助けを求めるように振り返ったアルベルトは、しかし何かを考えていた。




「…いいだろう。第三者に聴いてもらえば刺激になるからな。
午後からなら来て良いぞ。」


「やったー!頑張れよルカ!」


「吹奏楽なんて久しぶり!楽しみにしてるわね、ルカ。」


「…マジで…。」




楽しそうな二人とは対照的に、ルカは緊張で青ざめていった。
学内以外の観客に聴かせるなんて、コンクールくらいなのだ。




「…ねえルカ?顔色悪いけど大丈夫?」


「はい…島村さん…大丈夫デス…。」


「ジョーでいいよ。僕も楽しみにしてるから、頑張ってね。」


「う…ジョーまで…。」




心配そうな顔をしてさりげなくプレッシャーを与えるジョーに、益々ルカの顔色は悪くなった。
そんな彼女の背中にアルベルトの檄が飛ぶ。




「そんなに不安なら練習するんだ!
集合時間に遅れるぞ!さっさと支度しろ!!」


「は、はいっ!!」




ルカは慌てて朝食をかき込むと荷物を取りに部屋に走って行った。




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