目指せ普門館!?〜私立麗凰高校の挑戦〜
□7.caloroso【カロローソ/伊】
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「さて、聞いてると思うが今日は午後から観客が来る。」
その日の昼前、部員を集めて指揮台に立ったアルベルトは皆を見渡して言った。
「俺の友人で音楽はまあ…素人だが、耳はいい奴らばかりだ。
せいぜいいい演奏をするんだな。」
「…コーチ。」
アルベルトの話を聞いて手を挙げたのは部長の久保田まゆだった。
「何だ久保田。」
「コーチのお友達って事は、外国の方ですか?
日本語で大丈夫かと…。」
「ああ、奴らなら日本語で大丈夫だ。気にしなくていい。
アメリカ人にフランス人、それに日本人に、アフリカのムアンバ人が来る予定だ。」
「ゲッ…!増えてる…ピュンマさんまで?!」
「何か言ったか佐藤?」
「い、いえっ!何でもありません!!」
知らないうちに増えたメンバーを聞いてルカが呟くと、アルベルトが耳敏くそれを拾って睨んだ。
ルカは慌てて口をつぐむ。
「誰がいようといつもと変わらない演奏をしろ。
観客の有無によって音が変わるようではいつまでたっても人には聴かせられんからな!!」
「はいっ!!」
部員たちが張り切った顔で返事をするのを聞いて、アルベルトは満足げに頷いた。
「よし、では課題曲から始めよう。
頭から通すぞ。」
「はい!!」
こうして午前中の練習は、常より熱のこもったものになった。
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