目指せ普門館!?〜私立麗凰高校の挑戦〜

□8.Intermezzo-1【インテルメッゾ/伊】
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「トランペット!!タイミング遅いぞ!!もっとしっかり吹き切れ!!」


「スフォルツァンドもっと強く!!何だその音は!!」


「譜面ばかり見るな!!棒を見ろ!!」




夏休みに入ると、いよいよコンクールまで秒読みになった。
部員たちは朝から夕方遅くまで練習に明け暮れ、アルベルトの檄も益々激しいものになった。


そんなある日。




「ねえねえルカ、今夜出かけない?」




1日の練習を終えて楽器を片付け始めたルカの所に、アカネがやって来た。




「今夜?なんかあったっけ。」


「海岸で花火大会よ。一緒に行かない?」


「花火かー。いいなー…。うん、お母さんに聞いてみるね。」




ルカはアカネの思わぬ誘いに喜んで頷いた。
急いで片付けてアカネと共に駅に向かう。




「うちのお母さんが浴衣着せてくれるって。ルカの分もあるから一緒に着ていこうよ!」


「浴衣!?いいの?わー!嬉しい!
あ、お母さんに電話しなきゃ!!…もしもしお母さん?」




携帯を取り出してひと通り母親にいきさつを話したルカはアカネに向かってにっこり笑った。




「アカネが一緒なら良いって。さすが持つべきものは優等生の友達ねー。」


「良かった!OKだって?
そうと決まれば早く行こう!」


「うん。」




二人はきゃあきゃあ騒ぎながら夕方の街を歩いていった。




アカネの家に着いた二人はそれぞれ浴衣を着せてもらった。


アカネは藍染に白いあやめ柄、ルカは白地に上品な赤い花模様。
髪を整えて下駄を履いて、二人は再び駅に向かった。




「うわ…すごい人。」


「みんな見に行くのよ。私たちも早く行こ、遅れちゃうわ。」




駅は二人のように花火見物にむかう人でごった返していた。


そんな中アカネは腕時計を気にしながらルカの手を引いた。
そんな彼女の様子を怪訝そうにルカが聞く。




「どしたの?誰かと約束でもしてた?」


「えっ、ああ、うんちょっとね。
ああ、あれに乗らなきゃ!行くよルカ!!」


「えっ、ちょっと待ってよ、アカネ〜!!」




アカネの態度を不思議に思いながらルカはホームを急いだ。
慣れない下駄に足を取られながら二人はホームに滑り込んできた電車に乗り込んだ。




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