目指せ普門館!?〜私立麗凰高校の挑戦〜

□10.Fine【フィーネ/伊】
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花火大会から数日後。
ルカたちはコンクールが行われるホールに来ていた。


全国高校生吹奏楽コンクール地区予選会場である市民ホールで麗凰高校に与えられた控え室。
部員たちは各々楽器を手に緊張した面もちで最終チェックをしていた。




「いよいよ本番だねルカ。調子はどお?」


「うん、緊張するけど…大丈夫。いい演奏しようね、まゆ。」


「うん。」




ルカは部長のまゆと頷きあった。
時計を見て学生指揮の関谷が皆に声をかける。




「じゃあチューニングと軽く音出そう。
みんな集まって。」




慎重に音を合わせて楽譜をチェックしていると控え室のドアが開いてアルベルトが顔を出した。


フランソワーズに見立ててもらったタキシードをスラリと着こなして襟元には白い蝶タイ。
白い手袋にタクトを持った姿にルカは思わずため息をついた。




「揃ってるな。…なんだ、どうかしたか関谷?」




他の部員たちもそれは同じだったようで、ぽかんと自分を見る部員たちにアルベルトは怪訝そうに眉を顰めた。




「あ、すみませんコーチ。
やっぱり立花先生とは違うなあ。」


「…アイツと一緒にしないで欲しいね。
よし、軽く音階出してみろ。」




アルベルトのタクトに合わせてウォーミングアップが始まった。
一通り音を出した後アルベルトが頷く。




「よし。いいかお前ら、今日は最高の演奏をしろ。
でなきゃ承知しねえからな。」


「はいっ!」




気合いの入った部員たちの返事を聞いて、アルベルトは表情を緩めて言った。




「今夜は旨い中国料理をご馳走してやる。楽しみにしていろ。」




アルベルトの意外な言葉にざわついているとコンクールのスタッフが控え室に入ってきた。




「麗凰高校のみなさん、移動してください。」


「よし、行くぞ。」


「頑張ろうルカ!」




ルカはアカネに肩をたたかれて振り向き、大きく頷いた。




「うん!」




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