You are My Doll

□6.ワタシトイウウツワ
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真っ暗で何もない空間をライラは歩いていた。


天地も左右も良く分からない。歩いてみても前に進んでいるのか分からない。


分からないながら、その場に留まることには例えようのない恐怖があった。
心の奥底からこみ上げてくる恐怖に突き動かされて必死に足を動かす。


いつしか歩みは小走りになり、全力疾走へと変わった。


走っても走っても変わらない風景はルームランナーの上を走らされているようでライラは焦れた。
おまけに泥の中を走っているように足が重くて思うように走れない。




『早くここから離れなくちゃ。奴等が来る!!』




ライラが思った瞬間、見えない闇から更に暗い小さな手が何本も延びてきて彼女を捉えた。


手に掴まれたライラの身体は、髪も腕も脚もモザイクのようにばらばらと崩壊していった。


それでも駆けに駆けて、ようやく振り切れたと思った時。


目の前に現れた鏡に映った自分を見てライラは絶叫した。




「イヤァァァァァァ!!」




ライラは自分の声に目覚めた。


ギルモア邸に与えられた居室のベッドで。
時刻は深夜になる頃だった。




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