グレ期

□三井専用席になった理由(ワケ)
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「俺、今日竜の後ろっかな。」
事の始まりは三井のその一言。いや、その前の竜との喧嘩が原因?

鉄男と三井は本当に仲が良い。一緒に住んでる(三井の家出により)からかご主人様と猫って言うか、猛獣使いとソレっていうか、何つーか…バ●ップルみたい。
それに比べて竜と三井は仲が良いンだか悪いンだか分かんねー。いつも一緒にいるくせにしょっちゅう喧嘩する。口は悪ィし手も早ぇ。血の気が多いトコと言い似てんだと思う。

そんなこんなで今日もまた喧嘩してた。喧嘩も早いが仲直りも早い。と言うのもどっちかが「もうイイわ」的に逃げると大体もう片方が追い駆けて行って仲直りするまで喧嘩してるからだ。んで今日は三井が追い駆けて行った。最近良く見る光景だが、バイクで逃走を図る竜を阻止するため、竜の目の前に向かい合ってバイクに跨っている。
言い合いも済んでいるようなので場所移動をしようと持ちかけたら冒頭のセリフである。
仲直りしたてでご機嫌だ。それともご機嫌取り?どちらにせよ竜も満更じゃなさそう。
いつもなら決まって鉄男の後ろのワケだが何の問題もないだろう。今日は鉄男と竜のバイクと俺の原付の3台に、人がその他に堀田と俺ともう一人の計6人。
「じゃあ堀田、俺の後ろ乗れ。」
とは鉄男の台詞。当たり前。なのにこれに三井が敏感に反応した。
「ヤだ。」
ぎょっと皆が振り返る中、言葉を続けた。
「鉄男の後ろは俺専用。」
つい「あぁ、そうだよねー」と言ってしまいそうなのが不思議だ。皆苦笑してしまうそんな空気。そんなキャラ。ただ竜は眉を顰めている。
「んじゃどーすんだよ?」
俺的には二者択一だった。“俺専用”なら鉄男のケツに乗りなさい。竜のケツなら“俺専用”に堀田を乗せてあげなさい。聞く俺に三井は無邪気に満面の笑みで言った。
「お前が3ケツすればイイじゃん。」
頭イイー!超ウケる。平成にマリーアントワネット再来。
「原付に三人は重いだろ。」
そう言う鉄男に三井は唇を尖らせ、うーんと呻っている。
「じゃあ俺のケツ乗る?」
テキトーな事言って調子コイた俺。水面下で見えない攻防があるとは露知らず、鉄男と竜にモノっ凄い勢いで睨まれた。
…え?…あ、さーせん…
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