グレ期

□徳男道
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学校に行く時には鉄男の家までミッちゃんをお迎えに行くのが俺の日課になっている。ちょっと遠回りだけど惚れた女(男)には尽くすのが俺的男道。
今日もアパートに向っていると、途中でコンビニから出て来た鉄男とバッタリ。驚いた様子の鉄男に「おぅ。」と軽く挨拶をすると鉄男は少し眉を顰めた。

「今日は早ぇな。」

「木曜だから。」

そう。今日はミッちゃんの単位のヤバイ授業が一時間目にある日。そこらへん抜かりはない。鉄男も「あぁ」と思い出したようだ。

「ミッちゃんは?」

「…寝てる。」

会話をしながら部屋の前までくるとなぜかそわそわしだす鉄男を不思議がっていると、開きかけたドアが中から勢いよく開けられ、鉄男の頬に乾いた音が響いた。

――バチンッ――……!!

「どこ行ってたんだよ――っ!!」

「――ッ!……バカっ…!!」

隠すように抱き締められたミッちゃんの身体はなんと、一糸、纏っていないらしい。
…これか。そわそわの原因は。
朝からとんだ激物に頭から湯気が出そうだ。
ミッちゃん…。暑いからって…。しかもそんな格好で寝ているから身体中うっすらとダニに喰われている。うぅっ…今度の休みには布団を干してあげるからね!!

細い身体を抱え上げて奥へ行く鉄男に続き俺も中へ入る。シーツでぐる巻きにされるミッちゃんは鉄男の首に絡まり、ぴょこぴょこ跳ねながら声を荒げた。

「一人にすんな!起きる時は俺も起こせって言ってんだろっ!!」

「起こしたじゃねーか!言ってったろ?ちゃんと。」

「聞いてねーよ!ビビって洗濯機の中まで探しちまったじゃねーか!!」

「……起こしたし、言った。お前が起きなかっただけだろ。」

「そんなン俺が起きてねーんだから起こしたって言わねーよっ…!」

「屁理屈言ってんじゃねぇ。」

「テメーこそテキトーに言っときゃイイとか、思ってんじゃねーっ…」

徐々に声が尻窄みになるミッちゃんは仕舞にぐすぐすと腕を絡ませたその首筋に顔を埋めてしまった。
―――可哀想っっ!!そんなに寂しかったのねっ…!!
鉄男を探して素っ裸で洗濯機の蓋を開ける姿を想像して目頭が熱くなった。
今度からはもっと早く来ようっ…!
 
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