グレ期
□Bad Communication
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少し酔ってた。
「バカ。」
ぽこっと顔に丸めた使用済みティッシュを投げられた。
俺のベッドで寝るお前に興奮した。布団ないなんて嘘。実家だし。
「変態。」
また顔にティッシュが飛んできた。
なにより俺は、かなり前からお前の事、……………アレなんだよ。言わねーけど。
「鬼畜。強姦魔。ホモ野郎。」
一つ言うごとにぽこぽこ飛んで来る。
どっちがホモだよ。随分慣れてたじゃねーか。やっぱアイツなの?付き合っちゃったりとかしてるワケ?…ムカついてきた。でも黙っとく。ヤキモチとか格好悪ィし強姦魔には違いない。
暫くベッドの上で睨み合うと三井の方が先に目を逸らした。背中を向けてころりと横になるのには目を見開いて驚いた。
…絶対出て行くと思った。泊まれる所なんて俺んトコだけじゃない。だから許してくれるなら何でもするってくらいだった。でもこれは俺許された?…ヤバいテンション上がる。…じゃあ、つーか、ぜひ……
周りに散乱したティッシュをベッドの下に払い落し三井に覆い被さる。
「あっ…!てめっ…ンン―――!!」
こいつがアイツのだったら後から大変だ。でもどーだってイイそんな事。お前を傷付けたってさっきの不安に比べたら。アイツとモメてやる覚悟くらい余裕で有る。
でも、今はそれよりもただ舞い上がってて、どしよーもなく嬉しくて、暴れる身体をまた押さえ付けた。
*
それから何度かそんな事があった。相変わらず俺から無理矢理なカンジだけど、もう始まっちまったんだからしょーがねぇと、今まで抑えてた分止まらない。三井の抵抗は格段に弱くなっていて、案外…なんて期待もする。sexの後は最高に機嫌が悪いが俺自体を嫌がる様子はなく、今までと何ら変わらない。鉄男とも何もなし。バレてないワケはない。やっぱり“アイツの”なんて事はないんじゃねーの?なんて思うが、向こうとも関係が続いてるのは確かでかなりイラつく。だからって『お前らってどーなの?』なんて聞けない。だって今んトコ俺ただの強姦魔だろ。切られるならこっちだし、“何か”言えるワケもない。『何?お前俺の事好きなの?』なんて薄ら笑われた日には憤死しちまう。
今日は俺の部屋で三井達とは違うダチ等と飲んでた。遅くなって粗方皆帰ったが一人、女が帰らない。ツラも身体も見た目には悪くないが何だか面倒臭くて、どーすっかなーとか思いながらベッドの上で天井を眺め、跨ってくる女の唇を受けると、ふわりと甘ったるい香水の匂いに眉を顰めた。
――こんなんじゃねぇ。
はたと三井の香水を思い出してる自分にますます眉間の皺を深くする。ものの見事に反応していない自身に、それでも懸命に咥え込む様を見て、アイツもこんな風に咥えてんのか?なんて思ったらグラグラと腸が煮えて、折角起ち上がってきたものが萎えてきた。
…ダメだ。相当ヤられてる…。
スパン――…!っと突然部屋の襖が開いて俺も女も飛び上がった。なんとこのタイミングで現れたのは三井。向こうも驚いた様子で立っていた。
「…悪ィ。もう二度と来ねー。」
短く言うとスパンっと襖を閉める。
二度と……って、…待て!待て!待て――…!!
完全に縮み上がってしまった唾液でベタベタの息子をしまい込んで追い駆ける。途中女を蹴り飛ばしてしまったかもしれないがどーだってイイ。気分は浮気ばれたマヌケな彼氏。