グレ期
□鉄三短いヤツ
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「…みつ……」
夢を見ていた。
声もなく、内側で泣いて、子猫のように震えていた。
消え入りそうで手を伸ばせば、何よりも鮮やかな色彩で輝く。
肩まで伸びた髪を風に舞わせながら、
俺に笑いかけていた。
突然、強烈な肉体的刺激により一気に意識が浮上する。
原因の下腹部に目をやれば、自身を銜え込む小さな頭が、長い髪を揺らしていた。
カーテンの隙間から洩れる朝日を纏い、俺を見て目を細める顔に、一瞬夢か現実か区別がつかなくなる。
「…な、んだ…?」
「朝立ちしてた。」
寝呆けた頭にリアルな肉声が響く。
みるみる取り戻す感覚は頭だけではなく、唾液を絡めて忙しなく動く手に小さく呻いた。
「イイ夢見た?」
夢?
そうだ。夢を見た。
現実味が増すたびにどんどん朧気になっていく。
何の夢だったか…?
目の前で自身に吸い付く舌の色の鮮明さのせいで、とてもじゃないが思い出せない。
でも、
「…そうだな。」
悪くなかった気がする。
「ふぅん。」
興味なさ気に答えるが、目は細めたまま、見せつけるように熟れた舌で側面をなぞった。
つられて身を乗り出すと、拒むようにすらりと伸びた足が身体を跨ぐ。
先走りで汚れた指を舌先で拭い、凶悪な笑みを見せた。
「イイ子にはご褒美あげるよ。」
何やらご機嫌の様子。
真相に一抹の不安を感じつつ、今は欲張りな腰が弱音を吐くのを待つ事にする。
*****
end