グレ期

□三井専用席になった理由(ワケ)
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そのうちに三井はバイクからケツを浮かせると竜が腕を引き止めて怒りだした。
「ワガママ言ってんじゃねーよ!テメーのバイクじゃねーだろ!」
多分“俺専用”の事だと思う。反応遅くね?
「鉄男が俺ンだ。」
横暴でちょっと赤面する台詞もさらりと言ってのけるのが三井だ。そこが可愛かったりするが、今回は竜に頭引っ叩かれてる。そしてやり返しまた始まった。仲直りした傍からギャンギャンとコレ。
「もうイイっ!離せよ!」
今度は三井から出たその言葉。
そうだよ。離してやれよ。鉄男の乗るっつってんだからお前は残ったどっちか乗せてやれ。
皆がほっとしたのも束の間、舌打ちした竜は三井を前に乗せたままバイクを急発進させた。
「ギャ―――っ!!」
ええぇぇぇ―――っっ?!!
三井の悲鳴だけが辺りにこだまし、あっと言う間に視界から消え失せた。
…なんて危ねぇ奴。茫然と見送ってからはたと目を合わせた俺達。追い駆けようにも“俺専用”が引っ掛かって動けない。別に三井の言う事なんか聞く事ないが、バイクの所有者が聞きそうだ。…どうする?
「いや、ミッちゃんが言うならしゃーねーよ。」
鉄男が沈黙をキメ込むので代わりにケツ乗るはずだった堀田が口を開いた。俺等的にも一応微妙な力関係があって、こう(鉄男>竜=堀田>三井=俺等)だ。俺等含め全員が下の三井に振り回されるのはそれぞれの純然たる意志である。三井に絶対なだけで堀田は結構上。堀田が乗らないのでは誰も乗れない。
こうして原付で3ケツを余儀なくされたこの日から、本人の意思とは関係なく(?)鉄男の後ろは三井専用になった。
そしてさり気なく竜の『前』も三井専用と言われるようになったのである。



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END

ヤバイ!一瞬鉄竜にも見そう。あわわわわっ!!
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