グレ期

□キャッシュな関係
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「ヤだー!まだ帰ンないっ!」
皆を集めてそこらへんの居酒屋で飲んでた。だって今日は鉄男の帰りが遅いんだモン。一人は寂しいじゃん。皆苦笑しているけどなんだかんだいつも最後まで付き合ってくれるんだ。きゅーん。
「立て。この酔っ払い。」
冷たい言葉とともにぐいと腕を引っ張られ、今日のターゲット決定。全体重をかけて抱き付いた。
「んじゃ竜ン家行くー。」
ほっぺにちゅーもしちゃう。



竜の家は年季の入った集合住宅の一部屋。母子家庭でその母親が夜になるといないので、気を遣わなくてイイと言う点ではスゴイ楽。
ソファーに座る竜の膝に寝転がり、抱き付きながら腹に顔を擦り付ける。人にくっついてンの好き。落ち着く。
「なぁ、なんか音楽かけてー。」
「じゃあどけ。」
「じゃあイイ。」
「…寝んならベッド行け。」
「運んでー」
鉄男みたいに。
くすくす笑うと頭ぐしゃぐしゃにされた。その後で髪を梳いてくるあたり、こいつも大概優しい。いつも喧嘩ばっかだけど。やっぱ優しい。


相変わらずの傍若無人ぶり。そんなところすら憎らしい程に可愛い。俺もなんでこんなヤツがイイんだか分からない。しかも既に人のモノだと言う周りの空気。定かじゃないのにそれには毎度苛々させられる。確かにアイツはお前に惚れてるかもな。でもお前はどーなの?そこだろ問題は。なぁ、こっち向けよ。俺を見ろ。


髪を梳く手が心地良い。んん、気持ちイイ。もっと気持ち良くして欲しいのに鉄男がいない。うぅーん。
身悶えて気持ちイイ手の持ち主を見上げると俺を見下ろす瞳と視線が合い、トクリと鼓動が鳴ったー…
これは直感。あるいは本能?竜もなんだか熱っぽい感じ。色んな意味で、イケそうな気がする。あると思います!


本当にこっちを向いたのにも驚いたが、その艶っぽさに鼓動が跳ね上がる。暫く見つめ合ったまま動けずにいると不意に三井は誘うように笑った。

「酔うとさ、SEXしたくなんない?」
 
 
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