グレ期

□キャッシュな関係
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バシン―――…ッ!!
「出て行け――っっ!!」
頬を引っ叩いて叫んで、目を見開いて唖然とする竜を見てはたと気付く。
そうだ。竜の家だった。じゃあ俺が出て行く。
「――オイっ…!」
勢い良くベッドから立ち上がると足がフラつき竜に抱き止められた。同時に患部に痛みが走り、とろりとした熱が足の間を伝い落ちて咄嗟にソレに視線を移す。
「ッッ―――……!!」
―――驚愕。ソウ言えば、…ナカニ…。おまけに混ざり合っているのは……血。
「バカ――ッ!!最低っ!野蛮人!死ね!もうお前の顔なんか見たくない!二度と俺の前にツラ出すな――っっ!!」
竜を突き飛ばし急いで着替えて部屋を出る。ポロポロと涙が止まらない。最後に腕を引かれたので振り向き様に「大っっ嫌い!!」と振り切った。
まるでガキの喧嘩。バカみたい。だって超ショック。痛いし。泣いたし。ヨくなかったし。


*****


「…何やってんだ?」
家に帰ると三井は風呂場のドアを開けっぱなしで服着たままシャワーを浴びてた。浴びてたと言うよりは膝を抱え込んで蹲ってた。
「…お湯溜めようとしたらシャワーになってた。」
ギロリと睨まれた。俺の所為?また酔っ払ってるんだと思い腕を引くとその冷たさに驚く。
「水じゃねーか!」
「ガス止まった?」
んなワケあるか。見ると給湯器の電源が切れたままだ。良く見ろよ…。でも酔っ払ってるにしては少し様子がおかしい。お湯を浴びせながら貼り付いた服を脱がせて凍りついた。止まった俺の手に何事か気付いて目を見開き、みるみる顔を顰めて瞳を潤ませる三井に声を絞り出した。
「誰が…っ」
地を這う声にドンと胸元をどつかれた。
「鉄男が焦らすからだっ!!…もう、……最悪っ…」
――ナント?
強姦でもされたと思った。でも三井の意思ならばそれを止めるすべなど持っていない。しかしなんて…
「……バカか…っ」


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