もう一つの空間
□第四幕
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ABの組織に入って、ひよりを慰めに抱き合いながら二人して泣いたあと、泣きすぎて疲れたらしく一緒に寝ていたのを、僕は起きた瞬間、絶叫してその後にみんなに見られ、ひよりに叩かれたのは言うまでもない。
そんないつもの雀も人の気配もしないアナザーでの朝、修さんが僕に一つの太刀を僕に向かって差し出された。
「修さん? これは……太刀?」
「せやで……アナザーのあの化け物と戦うためのな……。せやけどな、お前、月也の覚悟を聞かんとこれは渡されへん」
へにゃといつも笑ってるような人だと思っていたのに、こういう時は真面目になるんだと思いながら、太刀を握りながら、
「分かってます。僕のすべき事は、ここの化け物と戦うこと。それで、自分の住んでいた空間に戻る手立てを見つけること。そして、なにより、僕は、ひよりを……皆を守りたい!!」
もうひよりを泣かせないと決めたんだ。絶対、認めてもらわなきゃ、あの化け物と戦えない。そう思って、修さんの顔をずっと睨み付けるように見ていた。
「……。修、月也は覚悟は決めているみたいよ……。もう渡してあげなさい?」
「せやけど……」
「わ・た・す・わ・よ・ね・?」
「はい……」
奈々さんは怒らせると怖いと始めて分かった。
「修が本当にごめんね? ちゃんと覚悟出来た目をしているのね? これはあなたの太刀よ……。そして、あなたの相棒。名前は紅蓮っていうの」
修さんが持っていた太刀を奪い取り僕に渡してくれた。
「紅蓮……か……」
呟くと、修さんと奈々さんは微笑んで僕を見つめた。