東方 無法禅

□達磨の化身と深緑の流星
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【半日後:教会“エデンの蛇"】





「ッ…!!」



バダン!



「、おや京士郎さん、お帰りなさ…」


ガチャガチャガチャガチャッ


ガダンッ!!


「っとっと、そう慌てず…ん?『一つお願い早く』? ん〜それは構いませんが、知っての通りタダでは差し上げられませんし、まずは今回の支払い分を…」


最後まで言い切る前に足元の戸が荒っぽく開き、麻袋が投げ込まれた


「………………………確かに」


中身をじっくりしっかり確認してから箱を一つ戸から向こうに送った

こうなると分かっていたから用意はしてたんですよ

かくして、送り出した箱は引ったくられる様に引きずり出された


「あの界隈の衛生環境は酷いですからねぇ 心臓は勿論水一滴飲む気にはならなかったでしょう?」


ガヂュッ ガヂュッ グヂュッ…


「『あんたあとで覚えてなさいよ』? まぁ私も仕事ですから 悪しからず」


グチュッ グチュッ ガブッ…


「と言うより京士郎さん、帰り道で誰か殺して食べて来れば良かったんじゃないですか? そんなにお腹を空かせたのなら」


ムグムグ モグモグ…


「『腹の足しになる様な奴が いなかったし、あんたなら いつも上物用意してる』? それは光栄で」


ゴクン


「『御馳走様でした』」


「…ホントにあとで覚えてなよ?」


「了解してます」


「………はぁ…」


椅子の背もたれが軋む音


「しかし奇特な方もいたものですね、あんな所を“整地"するなんてそれも人手まで雇って」


あぁ鉄臭い


「……国の一つでも建てるつもりなのかね? あんたも見ただろうけど、支払いも結構なもんだったでしょ?」


「えぇ、個人の支払いにしては気前が良過ぎますね まぁ『今後とも宜しく』と言う意味もあるのでしょうが」


「私しばらく行きたくないよ」


「でしょうね」


「……水貰える?」


「どうぞ」


大した大きさのコップではないので、これは手元の小窓から渡した


「次があるかは置いときまして、この仕事のあとの予定は……しばらく空けておくとおっしゃってましたね?」


水で口をゆすぐ音がして、次にそれが飲み込まれる音


「…っええ、ちょっと行く所があってね」


「『五角盤の調子が悪い』? 直せる物なんですか?」


「一応ね」


「そうですか」


「と言う訳で、一週間は空けとくよ」


「…と言われましても、今回の仕事も時間としましてはそれ位掛かりましたけどね」


「…まぁね」
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