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□怒られる幸村
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『馬鹿みたい』
鋭く、澄んだ声が病院に響いた。少女の目は、ただ一点を見つめている。
絶望しきった目をしている少年に対し、何の躊躇いもなく言い放った。
「な・・・にが、分かるんだよ・・・っ!」
『分からないけど何か?てか、分かりたくもないし』
後から「やめろ」っと目で訴えかけられているが、少女は無視し、言葉を続ける。
『そうやって、自分の苛々人に押し付けといて何が部長?何が最強よ!』
「うる・・・っさい!俺は・・・俺は!!」
目に涙を溜め、今にも爆発しそうな心は、行く当てを失っていた。
『いい?アンタは又テニスをするの!誰が無理って言ったか知らないけどね?そんなこと鵜呑みにしてる奴に三連覇なんて無理だから!』
此処は病院です。そう、怒られていないのがおかしいぐらいの大声できっぱり少女は言い切った。
沈黙だけが漂っている。
誰もこの空気を打破できる者は居なく、ただただ、黙って部屋の一部になるしかなかった。
『何で・・・そんな事しか言えないのよ・・・。皆、皆ね、アンタの事大事に思ってんだよ。そう見えないって言うなら、アンタは部長やる資格なんて無い。』
強気な口調は、最期の方は途切れ途切れになり、ほとんど聞こえない程だった。
目に涙を溜め、だけど溢さず、少年を視界に入れたまま、しっかりと前を向いていた。
『あたし、帰る・・・。騒いで悪かったわね』
椅子に掛けてあった鞄を取り、ふらつく足で部屋を出て行った。
残された残り数名は、やはり沈黙を破れず、ただただ黙り込むだけ。
っと、そこで、先程まで散々言われていた少年が口を開いた。
「俺さ・・・まだやり直せるかな?テニス・・・出来るかな?」
ポツリポツリっと、しかし、力強く、自分に言い聞かせるように・・・。
行き場を失っていた思いは、しっかりと、ゴールを見据えていた。
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かなり前に書いた奴が書きかけのままだったから書いてみたけど、シリアスって苦手です(汗、