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□4歩
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「おはよ−」
「うぃ−す」
生徒達が朝の挨拶を交わしていく中、その事件は何の前触れもなく突然起こった。
「あらら。何ともこれは…」
「何?」
『万ちゃん?』
いつもの3人で登校し、上履きに履きかえていると万里が声を発した。
彼の方に目をやると何かを見ている。
名前は何だろうと思い、それを確認しようと万里の手の中にある紙きれを覗き込む。
そしてそれを見た瞬間、自分の血の気がサッと引くのがわかった。
レディ ゴー!
[く さ か コ ロ す]
それはまるで、サスペンスや刑事ドラマに使われる脅迫文そのものだった。
まさか、そんな物を自分が実際にお目にかかるとは思っていなかったし、ましてやそれが大切な幼なじみに向けて書かれた物であれば当然で……。
そんな名前の思いなど露知らず、万里はあっけらかんとした表情でそれを見ていて…
平に至っては何だか嬉しそうな顔をしてる気がする。
「オレ…とんでもね−奴から愛されてんな−」
「こりゃキョーハク文って言わねえか?」
『…万ちゃん心あたりとかないの?』
こんな事をするとしたら、相当相手に恨みか殺意があるからに違いない。
でも万里がそんな人じゃないことは自分達が1番よく知っている。
念のために聞いてみるも万里には心あたりはないらしい。
「へ−心あたりないわけ。おめ−男の恨みかってないと思ってんの、それで。」
平が指をさしながら言った先には、万里が持っている大きな紙袋。
その中には大量のラブレターやプレゼントの山。
そしてその内の1つに今回の脅迫文が入っていた。