Long


□6歩
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「ハァー…。」


一体、私はどうしたいんだろう…。


ヒナと同じ人を好きになってしまった。


天野を好きになって、自分のよくわかんない部分が増えてきた。

側に行けなくても見ていられたらいいなんて、今まで思ったこともなかった。


だけど、今は天野よりヒナが気になって仕方ない。 ヒナもきっと同じだ。


今の自分の気持ちを大切にしたい。


こんな事続けてちゃダメなのに…

ヒナも私も……。




   She・Sea・See



  
授業も終わった放課後。

いつものように帰ろうとしていた名前は、教室の隅で深いため息を吐いている人物を見つけた。


『真…。どうかしたの?』

「……名前か。いや、何でもないんだ…。」


思わず心配になり声をかけてみたが、何でもないと言われてしまった。

だけど、どこからみても今日の真はいつもと違う。 元気がなく、何か思いつめた表情が見てとれる。


『もしかして具合悪いの?』

「いや。体調の方はすこぶる元気だ…。」

『じゃあ、何か悩みごと?』

「……。」


名前の問いかけに黙ってしまった真。

どうやら当たりだったらしい…。
真はさっきよりも深いため息をついている。


「…名前は……。」

『なに?』

「…天野といる時って、どんな感じだったり…する?」

『平ちゃんと?』

「っ///!!」


ポツリと零すように言った真の口から、意外な人物の名が出てきてつい聞き返してしまった。

すると、名前が平の名を口に出した途端、伏せていた顔を勢いよく上げ何故か慌てふためく真。


「い、いや!今のは忘れてくれっ///!!!」

『えっ?真!?』


これでもかと言うぐらい顔を真っ赤にし「何でもないから!」と連呼して、自分のカバンを引っつかんで急いで教室から出て行こうとしている。


「わっ、私は部活に行かないとっ! じゃ、じゃあなっ!! …アタッ!!」

『真っ!大丈夫!?』


一体何を動揺しているのか、出て行く際に机やイスにあちこちぶつかってしまっている。


「た、大したことない…。 そ、それじゃあ…。」

『う、うん…。』


「イタタ…。」とぶつけた箇所を押さえながら、教室を後にした真。

真が出て行って1人取り残されてしまった名前はボーゼンと教室を眺める。


『……コレって、戻さないとダメだよね?』


ダレもいなくなった教室には、名前と幾重にも倒れている机だけが残っていた…。

    
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