Long
□1歩
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『花ちゃん?』
「よっ!名前。今帰りか?」
『うん。 花ちゃんは?』
「オレは日下に用があってな。 日下!!」
名前に声をかけ、そのまま万里の元へと行く花島田。 その顔は何故か意気揚々としている。
「……名前。 万里なんか置いてさっさと行くぞ」
そう声をかけられ、先に歩く平を慌てて追いかける。
すると、教室を出た所で前から見知った人物が歩いて来た。
『あっ。真・ヒナ今帰り? バイバイッ』
「ああ。名前、じゃあな」
「名前 …。 バイバイ」
そこには名前の友達であり、花島田が敬愛して止まない美人の相模真と、可愛くていつも真と一緒にいる一ノ瀬雛姫。
2人に挨拶を交わすと笑顔でそれを返してくれる。
すると、フッと隣をみれば何故か平がムゥ〜とした表情で雛姫を見ていた。
(…平ちゃん?)
そしていきなり名前の手を掴み、半ば強引に引っ張りながら早足に歩き出す。
『平ちゃん。どうかした?』
「っ別になにも!!」
『そう? …ところで、万ちゃん置いて来ちゃって大丈夫かな?』
「どうせ、いつものバスケの勧誘だろ? 背ェばっか高いだけの万里を入れたって勝てる見込みなんかあるわけねぇのに、花島田もよくやるよ」
「それに万里ならすぐに追いついて来る。」とわかっているかのように名前に笑いかける平。
それにつられ名前も「そうだよね。」と言いながら笑顔を返した。
そして平の予想通り、しばらく歩いていると名前達を万里が追いかけて来た。
「オレを置いてくなんてヒドイなぁ。」
「すぐに追いついて来てんだからいいじゃねえか。 どうせ今日も花島田をうまくマイてきたんだろ。」
「まぁね。ちょっと今日は手強かったけど…。 ところで名前、オレにはカップケーキくれないの…?」
「名前がおまえにあげるわけないだろ! 大体いくつもらえば気が済むんだよ。」
何故か名前のカップケーキをめぐって口ゲンカを始める平と万里。
名前はそれに苦笑いをしつつ、2人の前にキレイにラッピングされたカップケーキを差し出す。
『ちゃんと2人にあげるから、帰って一緒に食べよ?』
すると2人はピタッと口論を止め「オゥッ!」と言って笑顔を向ける
幼なじみ3人はそうやって、いつもの帰り道を歩いて行った。