Long
□2歩
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翌日、治さんのことを気にしながらも何かあれば連絡をくれるということなので3人は学校に向かっていた、すると平が突然
「オレ…もらわれっ子かも…」
『平ちゃん?』
そんなことを言いだす平を不思議に思ったが次の瞬間、平の口から出てきた言葉に名前は頭が真っ白になる
「…本当の家族じゃないかもしれない」
それを聞き名前は顔を俯かせる。 そして居たたまれなくなったのか
『…ごめん 先に行くね』
と走り出してしまった。
その様子に気づいていなかった平は、急に態度を変え走り去ってしまった名前を見て頭に?を浮かべている。
すると万里が怒ったような呆れたような口調で話かけてきた
「おいっ平! 名前の気持ちも少しは考えてやれよ。」
「名前の?。……あっ!!」
万里の言葉の意味に平も自分が名前にしてしまったことをようやく気がついたの、頭を抱えその場にしゃがみこむ
自分のことで頭がいっぱいで、名前に最低なことを言ってしまった。
名前はもうすでに天野家の一員で家族でそれが当たり前になっていて、いつも兄妹みたいに騒いで笑いあっていたから忘れていた。
名前の本当の家族はすでにこの世にいないということを。
「もらわれっ子」なんて「本当の家族じゃない」なんて絶対に口に出してはいけない言葉だった…。 たとえそれが、彼女に向けた言葉じゃなくても…。
自分は知らない内に名前を傷つけてしまった
心の中で反省しつつ、自分の身勝手さに呆れてしまう
「オレ、本当最低だ…」
「それがわかってるなら、さっさと謝りに行けよ?」
「おうっ」
万里に促され名前に謝罪しようと決意し勢いよく立ち上げる。そのまま名前の後を追うように足早に学校へと向かった