Long
□3歩
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そんなことには目も暮れず、名前は花島田の口から出た名前が自分のよく知る人物なのであるかを確かめる。
『花ちゃん。鷹丘ってあの鷹丘虎雄くん?』
「あぁ。よく覚えていたな」
『当たり前だよ。小学校からの付き合いなんだから』
「そういえばそうだったな!」
と笑いだす彼に苦笑いを浮かべる名前。
それを聞いていた平と万里も2人の会話に入ってきた。
「名前。その鷹丘って奴と知り合いなのか?」
『うん。小学校も同じだよ。 私が転校してくる前は彼と同じ燕ノ巣中学だったから』
名前の説明になるほどといった感じの平。
しかし万里は納得のいかない顔をしていた。
そんなことには気がつかない名前は花島田と鷹丘の話に夢中になっている。
『鷹丘くんと試合できるんだから練習頑張らないとね!』
「おう!さあっ全員気合い入れて行こ−ぜっ♪」
2人してテンションを上げながら花島田が部員に声をかける。
それに従い、平や万里も渋々ながらも練習を再開しようと各々散って行った。
みんなが練習をしている最中、マネージャーである名前は部室にみんなの分のタオルを置いてきてしまったことに気づき、慌ててそれを取りに行っていた。
部室に着き、大量のタオルをカゴに乗せていざ運ぼうとしていると、後ろから突然ダレかに名前を呼ばれる。
「名前…。」
『万ちゃん?』
その声に振り向くと、そこにはドアに体を預けている万里がいた。
「どうしたの?」と聞いてみても返事は無く、ただ無表情でこちらを見てくるだけ。
様子のおかしい万里に、名前が不安がっていると、不意に彼が口を開いた。
「あの鷹丘って奴と、どういう関係なの?」
『えっ?』
やっと声を発した万里。だが突然の彼の言葉に意味がわからず、つい聞き返してしまった。