Long


□4歩
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『…ご、ごめん。入っちゃダメだった?』


何故か教室に入っては行けなかったと感じ咄嗟に謝る。
すると真も、教室に入って来たのが名前だとわかると強張っていた表情を少し崩す。


「何だ名前か。……その…今の話聞いてたか?」

『話? 今来た所だから何も聞いてないけど…。』


真剣に聞いてくる真に正直に答える。

名前の答えを聞き、真は安堵したように息を吐く。
 
何か人に聞かれたくない話でも話していたのだろう。 
何だか聞いちゃいけないような気がして、その話について詮索するのはやめようと話題を変えることにした。


『2人共今から帰るんだよね?』

「あ、ああ。名前も今から帰るんだろう? 途中まで一緒に帰ろう」


少し戸惑った様子だったけど、真は一緒に帰ろうと誘ってくれる。

その申し出は嬉しかったのだけど、自分にはまだやりたい事が残ってる。 


『ごめん。ちょっとまだ用事が残ってるから今日はやめとくね。 また今度一緒に帰ろう?』

「…それじゃあ、仕方ないな。 じゃあまた今度誘うから。」


申し訳なさそうに断れば、笑顔でまた誘うと言ってくれる。 
そのまま自分のカバンを持ち、教室から出て行く真。 その後をヒナが後ろからついて行く。
そこで名前は、ヒナに小さな声で声をかける。


『ヒナ、どうかした? 何か元気ないよ?』


名前が教室に来てから彼女は一言も話していない。
あまり喋る方ではない彼女だけど、何だかいつもより元気がないような気がする。 
もし悩みがあるなら少しでも力になりたい。


「何でもないよ。ありがとう心配してくれて。…じゃあね名前。また明日」

『う、うん。 何かあったらいつでも相談に乗るから』


再び「ありがとう。」と言いながらで帰って行くヒナ。 やっぱり元気がない。
でも本人に言う気がないのなら、無理に聞くことは出来ない。


彼女のことを心配しながらも名前は当初の目的のため、下校時間が近づいている教室で1人何か手がかりがないか調べ始めた。
 
 
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