Long


□4歩
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名前は部室で作業を済ませ、みんなが練習している体育館へと向かっていた。


結局、昨日は教室でも何も出てこなかった。

万里が手をケガした事件は同じクラスの誰かのような気がするんだけど、地球儀の時は自分達が視聴覚室に行った時にはすでに全員揃っていた。

もしクラスの誰かが犯人となると、ホールで地球儀を落とし自分達より先に視聴覚室に着くことは距離的に難しい。


(そうなると複数犯の可能性もあるってこと?)


この考えが当たっているなら、犯人を特定するのはかなり難しい気がする。


ドンッッ!!


すると犯人について考えながら歩いていたせいか、前方で立っていた男子生徒とぶつかってしまった。


『あっ! ごめんなさい』


慌てて相手の男子に謝る。
 
そこで彼の足元に1枚の紙が落ちていることに気づく。 
どうやらぶつかった拍子に彼が落としてしまったようだ。

その紙を拾おうと手を伸ばした瞬間、そのままその場で固まってしまった。


『えっっ!?』


その紙に書かれていたのは、昨日万里の靴箱に入っていたのと同じ内容…

[く さ か コ ロ す]

名前がその紙を見たことに気づいた男子生徒は、一目散にその場から逃げて行く。


『っっ待って!!』


慌てて彼の後を追いかける。

あの紙を持っていたという事は犯人に違いない。 
絶対に逃がさない!と走る速度を上げていく。


するとしばらく廊下を走っていると、彼が階段を昇って行くのが見えた。
名前も何の迷いもなくそれに続く。

だけど、少し階段を昇った所で前方からクスクスと笑い声が聞こえた気がした。
目の前には、よく顔は見えなかったけど女子生徒のスカート。
その声に気を取られていたせいか、足元にはいつのまにか大量のテニスボールが転がっていて―

危ないと思った時には遅く、その1つを踏んでしまい足を滑らせてしまう。


『キャーーッッ!!』


そのまま階段から落ちて行き、全身を強打する。


体中が痛い。 意識が朦朧としてくる。


「名前っっ!!」


どこからか万里の声が聞こえる。
万里の姿を探そうと目を開けようとするが、体が言うことを聞いてくれない。


(…せっかく…犯人捕まえられると思った……のに…)

『万ちゃん…。ごめんね……』

「名前っ!!」


そのまま名前は意識を失ってしまった。

 
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