Long
□6歩
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(片付けてたら遅くなっちゃたな…。)
「おい。あの中学生かわいくないか?」
「どれ? おーっ!ホントかわいいじゃん。」
真と別れ、店がたくさん立ち並んでいる場所を歩く名前。
さすがに夕方の街中とあって、仕事が終わったサラリーマンや学校帰りの学生がたくさんいて賑わっている。
その人ごみを掻き分け、あの2人が待っている場所へと足を進める。
「ねぇねぇキミ。どこの学校?」
『えっ?…あの……』
待ち合わせ場所に急いでいると、突然高校生の男の人に声をかけられた。
「こらこら。人ん家の妹ナンパするんじゃない」
どうしようか考えていると、高校生の
肩をポンッと叩きながら呆れ口調で話しかけてくる人物がいた。
その聞きなれた声に伏せていた顔を上げれば、目の前の思わぬ人物に思わず驚いた声を上げてしまう。
『和兄っ!?』
「かずぅ?妹なのかぁ???」
隣を見れば名前だけでなく、名前に話かけてきた高校生も驚いた声を上げている。
「…そうだよ、オレの妹。 だから手ぇ出すなよ?」
「うっ…。すまん……。」
友達らしき人物を軽く睨みつける和兄。
その睨みを受けた友達は何か危険を感じたのか少し後ずさりながら素直に謝っている。
友達の謝罪の言葉を聞き、仕方ないと言った感じにため息を吐く和兄。
そして名前の腕を掴み、まるで友達から引き離すかのように少し距離をとる。
「それで名前。あいつらはどうした?」
『あいつら?』
「平と万里だよ。」
『平ちゃんと万ちゃんなら、そこの喫茶店に…』
いきなり平と万里の居場所を聞かれ若干驚きつつも、真剣な表情の和兄に名前は今から行こうとしていた彼らとの待ち合わせ場所を指さす。
「…ったく。ほら行くぞ。」
『和兄?』
今度は大きなため息が聞こえたと思うと、言葉と同時に手を捕まれ、名前はそのまま平達がいる喫茶店へと連れて行かれる。
カランカラン
「いらっしゃいませー」
店のドアを開け店員が笑顔で近づいて来たのも目も暮れず、窓際に座っていた2人組を見つけ和兄はズカズカと近づいて行く。
そして平達もこちらに気づいたのか、多少驚いた様子で名前達に声をかけてきた。
「あれっ和兄? 何で名前と一緒にいんの?」
「…おまえら中坊のくせに、このへんウロウロすんじゃない。」
「えー?だって買いモノあったんだよー。名前とはそこで会ったの?」
「…まぁな。」