本棚10♪(記念)

□温もり日和
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「お邪魔します」


ゆかりは今


「ちょ、えぇ!?」


奈々ちゃんのお家に来ました


「何さ〜。ゆかりが来たの迷惑?」


「いっ、いえ、いきなりだったのでびっくりして…」


そりゃそーだ


連絡してないもん


「…ゆかりが会いたかったの」


ボソッというその言葉を、


「嬉しいです」


奈々ちゃんは漏らさず聞き逃さなかった



「奈々ちゃん寒い、早く入れて」


「あぁ、はい」


会いたかった


そう言われて嬉しくなり、思わず抱き締めてしまった


おかげでゆかりさんは膨れっ面


「ふい〜…奈々ちゃんのお家落ち着く」


「そうですか?」


ゆかりさんに紅茶を入れながら相槌を打つ


「わんわん!」


「お、けぇたんだ」


ゆかりさんが来たのが嬉しいのか、けぇたんは尻尾を忙しなく動かしている


「わん!」


「きゃっ、くすぐったいよぉ」


丁度、紅茶を持っていったらけぇたんがゆかりさんの膝に乗った


「ゆかりさんが来たのが嬉しいんですよ」


ゆかりさんの前に紅茶を置く


「ありがと」


けぇたんを片手に抱きながら、一口啜っている


「ほら、けぇたんこっちおいで」


ゆかりさんからけぇたんを預かる


「やっぱりけぇたんって奈々ちゃんみたい」


「どこがですか?」


「ぱたぱたと尻尾を振ってくっついてくるとこ」


「…私は犬ですか?」



「うん」


奈々ちゃんって犬っぽいし人懐っこいし


「じゃあゆかりさんは…猫?」


「なんでそこに繋がるの?」


意味はわかるけど、そんな話してなくない?


と思いながらも奈々ちゃんをガン見


うん相変わらず可愛い


「なんか私に付いてますか〜?」


「ううん、可愛いなって」


そう言うと、ボッと顔が赤くなる奈々ちゃん


「いい加減、誉め言葉に慣れようよ」


「だってぇ〜…」


“ゆかりさんから言われるの、恥ずかしいんですもん”


けぇたんに顔を埋めながら、そう言う奈々ちゃん


「あぁ、もう!可愛いなぁ!」


「ひゃっ!?」


奈々ちゃんが可愛くて可愛くて、抱きついた



「何するんですか!」


びっくりしてけぇたんは飛び下りてしまった


「いいじゃんか〜」


全く、ゆかりさんの気まぐれには適わない


私の事犬って言うくせに、自分は猫みたいに甘えてくる


「なぁちゃんの匂い〜」


スンスンと嗅いでくる姿にくらくらする


「はぁ、ゆかりさん今日はどうします?」


「今日って?」


何言っているの、と言うような顔をして聞いてくる


「今日泊まって行きますか?」


彼女の耳に触れて


「…泊まる」


そのまま唇に吸い付いた








END
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