本棚10♪(記念)

□『sweet&salty』
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体育の授業を受けてたのに、気付いたら保健室にいた。



【sweet&salty】



「だっ、大丈夫ですか?田村さん」
「ぁー……うん、何とか」

心配そうな奈々ちゃんの顔。授業ほっぽらかして大丈夫?とは思うけど、ゆかりを心配してくれたんだもんね。

「軽い熱中症です」
「ゆうちゃん」
「今日は暑かったですし、もともと貧血気味だったようで…あと1時間は休んでいて頂きますよ?」

小林センセの言葉に頷く。だってじゃないと隣にいる奈々ちゃん、泣きそうだもん。

「では水樹先生、私はこれから用事がありますので。田村さん、ちゃんと水樹先生の言うことを聞いて下さいね」

たぶん、気をきかせてくれたんだろう。じゃなきゃウインクなんかしないでしょ?そんで保健室には、ゆかりと奈々ちゃんだけ。



「…心配、したんですからね」
「ん、ごめんね?」

そっと頭を撫でられた。そんな泣きそうな顔、させたくなかったんだけどな。

「ただでさえ田村さんは身体弱いんですから、気をつけないとダメですよ」
「“田村さん”呼び、やだ」
「ぅ…で、でも学校ですし」
「今は2人だもん」

たぶん小林センセが人払いしてくれてるから、しばらくは誰もこないだろうし。さすがに何かする元気はないけど。
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