☆短編集☆
□おはようのキスとリップクリーム
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俺はつくづく心の狭い人間だと思う。
もちろんカガリに関してのみだけど…。
あんなものにまで嫉妬してしまうなんて…。
―おはようのキスとリップクリーム―
「カガリ、何やってるんだ?」
いつものように決められた時間にカガリの部屋へと向かった俺は、珍しく鏡に向かって何かと格闘中のカガリに思わず問いかけた。
「ん、コレか?リップクリーム塗ってるんだ」
「リップクリーム?」
「冬は乾燥してすぐ唇がカサカサになっちゃうから困るってラクスに言ったらコレをくれたんだ!」
「そうか…」
…そんなことしなくてもカガリの唇はいつでもぷるぷるしてるのに。
カガリは慣れないことに四苦八苦しながらも丁寧に俺が愛してやまないその桜色の唇にほのかに色を落としていく。
鏡越しに映るカガリの見慣れないそのしぐさが妙に色っぽくて、俺の腕は無意識にカガリに向かって伸びていた。
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