☆短編集☆

□優しい風の中で 前編
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もう二度と、会いたくなんてなかったのに・・・。



〜優しい風の中で 前編〜



身体も心も限界まで使い果たしてようやく終結したあの大戦後、俺は皆と共にオーブへと降り立った。

精神的にかなり衰弱していた俺は、ここがどこだか初めは理解できていなかった。

大切なものをすべて失くして、自分の犯したあまりに大きな過ちに打ち震えながら、償うこともできず、ただ容赦なく過ぎていく時の中に立ち止まったままでいた。


アスランに連れられて行った、オーブの慰霊碑。
ここは、家族が焼かれた場所。
いまでもあの時の無残な光景が俺の記憶から消えることはないというのに、この場所はそんなことなかったかのように整備され、負の歴史を覆い隠している。



「シンに会ってもらいたい人達がいるんだ」

ここへ来る前にアスランが俺に言った。

「・・・誰ですか?」

と、そんなこと聞かなくても、本当はなんとなく気づいてはいたけれど。
判っていると思われるのもなんだか癪で、俺は聞き返した。

「行けば判るよ」

「・・・・・」

「さぁ、出かけよう」

答えを告げず優しく微笑むだけのアスランに、俺は視線を逸らしながら頷いた。
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