☆短編集☆

□おはようのキスとリップクリーム
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「よし、できた!じゃあ行こうか、アスラン」


俺がカガリを掴まえるより早く、立ち上がったカガリに俺の腕は空回りした。


「待て、カガリ。大事なこと忘れてるぞ」


気を取り直して再びカガリの目の前に立ち、柔らかいその感触を求めて唇を近づけた。


「わ!…ダメっ!」

「え……?」


いきなり強い力で振りほどかれて俺は固まってしまった。
何で今日はダメなんだ?
おはようのキスは毎日してるのに…っ!

するりと俺の腕から抜け出して既にドア近くまで歩いて行ったカガリの背中を恨めしそうににらみつけながら俺は不機嫌さを隠しもせずカガリに問いつめた。


「どうしてダメなんだ?」

「だって今日はもうリップクリーム塗っちゃったから…それにアスランとキスすると全部取れちゃうだろっ…///」


ほんのり頬を染めて訴えるカガリがかわいいな♪俺にだけ見せる恥じらいの表情だっ…///…って今はゆっくり浸っている余裕がないのが残念だが…。

言われてみれば確かにその通りだな。
おはようのキスといっても啄むようなかわいいキスではなくて、ついついカガリを感じたくてディープなキスになってしまうから。
それでも諦めきれない俺はさらにカガリにくいさがった。


「そんなのまた塗り直せばいいじゃないか。何なら俺が塗ってやろうか?」

「ば…ばかっ!何言ってるんだよっ…///先行くぞ!」

「あっ!カガリ…っ!」


…という俺の叫びも虚しくカガリは部屋を飛び出して行った。


おはようのキスが…カガリに…拒否…された…。

それもこれもすべてはあのラクスからもらったというリップクリームのせいだ!
まさか、俺にカガリにキスさせないためのラクスの陰謀かっ…!?


はあ…カガリ。


カガリからのパワーをチャージできなかった俺は足取りもフラフラでカガリの後を追ったのだった。






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