☆短編集☆
□おはようのキスとリップクリーム
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順調にその日の公務を終えて、待ちに待った夜がやってきた。
さっそくカガリの部屋へ行きドアをノックしたが返事がない。
「カガリ…入るぞ?」
ロックを解除して中に入るがやはりカガリの姿はない。
と、部屋の奥から微かに聞こえるシャワー音。
…バスルームか。
気を取り直して、カガリが出て来るのを待とうとソファーに向かった俺はふと、ドレッサーの上に置かれたあのリップクリームを見つけた。
…今朝の俺の楽しみを奪った憎きリップクリームめ!
カガリがいないことをいいことに俺はそ〜っとドレッサーに近づきそのリップクリームを手に取ると、素早く自分のジャケットのポケットに仕舞い込んだ。
カガリにはこんなもの必要ないから…。
しばらくして奥のドアが開き、カガリがバスローブ姿で金の髪をふかふかのタオルで拭きながら戻ってきた。
「うわっ!アスラン…き、来てたのか?」
「ああ。待ちきれなくてな」
「な…何を?」
「言わせたいのか?」
「……っ///」
カガリの声が、歓迎よりも明らかに動揺を含むものだったことに小さな落胆を覚えたが、もうそんなことはどうでもよかった。
早くカガリを感じたいから…。
「…アスラン」
「…何?」
「目が怖いぞ…;」
「…怖い?カガリを見つめてるのに怖いわけないだろ?愛しいの間違いだよ」
「……;」
「カガリ…俺のためにシャワー浴びて準備してくれてたんだよな?」
「は?違っ…「違わないよな、カガリ?」
「……うっ///」
昼と夜とでは形勢逆転。地の底から聞こえてきたのかと錯覚するくらいの低い声で、俺はカガリに有無を言わせず待ちこがれたぬくもりを確かめるように抱き締めた。
シャンプーの良い香りが媚薬のように俺の神経を刺激する。
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