☆短編集☆
□優しい風の中で 前編
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慰霊碑前で待つこと数分。
「トリィ・・・!」
という鳥の鳴き声のような機械音と共に、俺達の前に一組の男女がやって来た。
ピンクの髪が印象的な少女は、遠くからでもすぐに認識することができた。
ラクス・クライン。
プラントの歌姫で、確かアスランの婚約者。先の大戦では独立部隊を先導して平和への道筋を築いた一人。
(本物・・・だよな?)
大戦末期には、彼女と瓜二つの少女が現れて戦争をさらに混乱させたというのも記憶に新しい。
そのラクス・クラインに寄り添うようにして歩いてくるあの男は、いったい誰・・・だろう?
どこかで会ったことあるような・・・。
シン達の前までやって来た二人は軽くアスランに微笑み、その後ラクス・クラインは持ってきた花束を慰霊碑に捧げた。
その光景を眺めながら、俺は予想もしていなかった人物が現れたことに戸惑っていた。
アスランが俺に会わせたいと言っていたのはこの二人だったのか?
俺はてっきり、アイツ・・・が来るものだとばかり思っていたのに・・・。
カガリ・ユラ・アスハ・・・。