☆短編集☆
□廻り道
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「ねぇ、聞いてよ!今年の新入生、けっこうイキのいいのが揃ってるわよ。さっそく我がバスケ部に勧誘しなくちゃ」
クラス替えのそわそわ感も収まり、ようやく普段の落ち着きを取り戻しつつある2年の教室で、フレイは仲間に囃したてる。
「フレイが部のためいうなんてね〜。どうせ下心あるんでしょ?」
フレイの発言に呆れたとばかりに返すミリアリア。
しかしいつものことなのでフレイは全く気にすることなく続けた。
「あら、あたりまえじゃない?少しでもイイ男ゲットして高校生活を充実させたいと思うのは当然でしょ?」
「それよりもイザーク先輩とはどうなったのよ?」
イザークという名前にとたんに表情を歪ませるフレイ。
「は?誰のこと?あんな頑固なヤツもうとっくに忘れたわよ」
もう何度となく聞かされた台詞にミリアリアとカガリは苦笑いする。
ミリアリアとフレイはカガリが高校で出会った友達だ。クラスも部活も同じで自然と仲良くなっていた。因みにフレイは私体弱いからとマネージャーをしている。
フレイはふん、と鼻をならし言った。
「もういいのよ、過去の男のことなんて。それよりこれからは素直で従順な年下の男よね〜カガリもそう思うでしょ?」
「え、わ…私は、別に…」
いきなり話をふられ慌てるカガリだったが、『年下』という言葉にふと脳裏を掠めた人物の挑戦的な赤い瞳に思わず笑みがこぼれたのだった。
カガリがそんな懐かしい思い出に密かに浸っていると、横にいたミリアリアがとんでもないことを言い出した。
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