素敵な思い出

□Pの悲劇
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【Pの悲劇】

早朝。
皆が起き出すよりもかなり早い時間にイズは目を覚まし。

軽く伸びをして、黒のハイネックと同じく黒のズボンに着替えると。
階下へと降りていく。

「おや、お早う。イズ。」
「ああ。お早う、レオナ。」

ほぼ日課になっているレオナとの挨拶を交わす。
一体彼女はいつ寝ていつ起きているのだろうか?
そんな事を疑問に思っていると。

「そういや、今日の話しは聞いてるかい?」
「今日の?…いや、何かあるのか?」

首を傾げた所で。

「あ!2人とも。おっはようございます!」

何ともいえない元気な声が聞こえ。
にこにことトレードマークでもある笑顔を浮かべ。
一人の少女が姿を現したのだった。

「う〜ん。ほんっとうにいい天気だな!」
「そうだな。風も気持ちいい。」

体いっぱいに穏かな陽射しを受け。
ビクトールは大きく伸びをする。
その横で、穏かな表情でフリックが笑む。

そんな彼らから少し遅れて。
にぎやかな声が聞こえてくる。

「ちょっと!トキツグ!もっと大事に扱いなさいよ!」
「わぁ!急に引っ張らないでよ!」
「あの…、やっぱり僕が持ちますよ。」
「ん?そうか?」

大きなバスケットを持ったイズ達だ。

「おーい。ここら辺でいいか?」

ビクトールの声に子供たちが嬉しそうに駆け出す。
優しい眼差しでその姿を見送るイズ。

ゆっくりとその後を追う。
頬を撫でる風がなんとも心地好い。
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