素敵な思い出

□Pの悲劇
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「よっし。飯の番はしといてやるからよ。めいっぱい遊んで来な。」
「はーーーい。」

ビクトールの言葉に。
嬉しそうに子供達が駆け出していく。
普段は大人びた面しか見せないジョウイでさえ、嬉しそうに2人の後を追う。
その姿に自然と顔が綻ぶ。

「晴れてよかったな。」
「そうだな。」
「…まさか、こんな事を考えていたとはな…。」
「こんな時に…か?」


子供達の遊びまわる姿を見ながら3人は笑い合う。

「イヤ…。息抜きは必要だろう。」
「まあな。正直、あいつらだけじゃなくて、俺達にも必要だと思ったんだ。」
「…まさか、フリックが発案者か?」
「いや?言い出したのあのお嬢さんさ。」
「なるほど。」

寝転んだフリックを覗き込むと。
フリックは少し笑って答える。

「……。」

フリックの横に同じように寝転がり澄んだ空を眺める。
確かに、たまにはこういう日があってもいいのかもしれない。
穏かな陽射しにつられる様にして、いつしかイズは静かに眠りについていた。


「…寝ちまったみたいだな。」
「あぁ…。」

ビクトールの言葉に身を起こしながらフリックは答える。

「俺達が言ったって聞かないからな。」
「だよなぁ。」

今日、ピクニックに行く事に決めたのは、何も、子供達だけのためではない。
自分達にも必要、特に、彼女イズには必要だと思ったからだ。

「少しは休めるだろう。」
「ん。」

働き過ぎるほど働いている彼女へのささやかな休暇。
そして、穏かな時間はゆっくりと流れ…―
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