お題用
□新しい家族
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アリエルが目を覚ますとリボン付きの箱があり、【私の可愛いアリエルへ】とメッセージカードがあった。
パパからのプレゼントだ。そう理解したアリエルは期待いっぱいにリボンを解く。
きっと昨夜おねだりしたキューバボアが入っているに違いない。
そう思って勢いよく箱を開けると可愛らしい目に見つめられた。
「……キューバボアじゃない……」
がっかりだ。
だけど箱の中の生物はもふもふの毛皮に覆われていて、うるうるした瞳でアリエルを見つめた。
リクエスト通り、夜行性の胴の長い可愛いペットかもしれない。
「おいで」
アリエルは手を伸ばしてその生物に声を掛ける。
確かフェレットとかいう動物だった。
そのフェレットは警戒した様子も見せずにアリエルに近づいた。
どうやら洗脳済みのようだ。
「普通はヴァンパイアには懐かないんだけどなぁ」
アリエルは呆れてフェレットを見る。
ちょんと、膝に乗ってきたその姿は愛らしい。
期待したキューバボアではなかったが、今目の前の生物を見れば満足だ。
「兄さんに自慢しないと。一緒に行くよ」
そう、声を掛ければ当然のように肩に乗ってきた。
「名前も考えないとね。今日から新しい家族だもん」
アリエルはもう、新しい相棒に満足だ。むしろ、この子でよかったとさえ思う。
もうすぐ日没だ。
パパと兄さんにも、ちゃんとこの子を歓迎してもらわないと。
アリエルは首に擦り寄ってきたその子を、そっと撫で、勢いよく部屋を出た。