***sTorY***

□友と嘘は使い用
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「あのさー
いつまで居んの?
もう何日目よ?」


少し迷惑そうに万事屋の旦那が言った。


「今日で四日目ですねィ。
そりゃあ、桂が姿を現すまででさァ。」

「ヅラが姿を現すまで。ねぇ。
こんなとこより猫の集会でも張ってたほうが
よっぽど捕まると思うけど。
それにしても、珍しく真面目に仕事してるじゃん。」

「そうは言っても旦那ァ、目撃情報があった以上
真選組としては放っとけないんでさァ。
張り込みは最低でも一週間はしますんで
悪いですが、もうしばらく協力して下せィ。
それに、俺ァいつだって真面目でさァ。」



そりゃ真面目にもなるってもんでィ。
張り込みの場所が万事屋だなんて…



「協力たって、俺ァなーんも協力する気はねぇから、勝手にしな。
さてと、ちょっと出かけてくらぁ。」


「こんな時間に?
まぁたキャバクラですかィ?」


「うるせぇ!ここからは大人の時間なんだよ。ガキは張り込みでもしてやがれっ!」


「へいへい。毎日毎日ご苦労様です。
俺ァ勝手にやらしてもらいますんで。」


「おー、ちょっくら行ってくらァ。」



また出かけちまったか…
俺ァ、どこにも属さずに
ひょうひょうと
自分の魂の想うがままに生きる
そんな旦那の生き様に
惹かれ、憧れてる


少しでも近くに居れたら。
そう思ってこちとら真面目に仕事してんのに
旦那ときたら、毎日毎日飲み歩いては朝帰りばかりだった。
やっぱ迷惑してんのかな。


それにしても
大人の時間。ねぇ…
どーせ俺ァガキでィ。
いまごろ旦那は綺麗なねーちゃんはべらせて
楽しく飲んでるのかなぇ…



なーんか
もやもやすんなァ…
なんでィこの気持ち。



はあ…
早く大人になって
認められたい
肩を並べたい
そう思ってるのかもしれねーや


あー
ダメだ、ダメだ
なんかわかんねぇけど
旦那の顔ばっかり浮かびやがる…



それにしても旦那おっそいなぁー
今日は桂も来そうにねぇーし
外に居る土方に連絡取って、仮眠でもするかァ。



旦那に借りてる布団に潜り込む…
甘くていい匂いがする…
旦那の匂いかな?
この布団に入るのも四回目なのにまだドキドキするのは
きっとあれだ
憧れの人の布団だから



俺って可愛いとこあんじゃーん
なあんて思いながら
うとうとしていると
玄関が勢いよく開いた

桂か!?
とっさに起き上がり刀に手をかける俺の耳に聞こえてきたのはなんとも陽気な声で…
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