***sTorY***

□沖田くんの悩み
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「これはどうだ?」

暗い部屋の中でテレビだけが明るく光りを放つ。
DVDの再生ボタンを押した旦那が俺に聞く。

「んーーー微妙ですねィ。
ピクリともしやせん。」

テレビからは女の甘い声が漏れていた。

「なんだよ。コレもダメなのかよ。
俺、これかなりお気に入りなんだけどなァ…」


不満そうに旦那が呟く。


お気に入り。
俺の胸がチクリと痛む。
やっぱり旦那は女が好きなんだよなァ…
当たり前の事を思い知らされて自分の気持ちを嫌でもきづかされる。



「じゃあ、コレは?
けっこー激しいんだぜ」



何枚目かのDVDを再生した旦那が楽しそうに言った。



「あ!」



思わず俺が声をあげると
旦那はうれしそうに


「お!?ちょっと反応したか?」



「へィ。ちょっと…」


俺の答えに満足げに頷くと

「で、どこらへんがよかったんだ?」

興味津々そうに聞いた。


「そりゃ、旦那っ」


に、似てるから。
なんて
言えねえええ!
AVの男優が旦那に似てるから少し起ちました。
なんて
言えねえええ!
あぶねぇ!
今のあぶねぇ!
口をつぐむ俺に旦那はお構い無しに質問をする


「なに?俺がどした??」


「いや…旦那のオススメなだけあって
激しいなぁと思ったんでさァ。」



「ふーん。
じゃさ、これ見ながらちょっと扱いてみ?」


「へィ…」


旦那に言われ、少しだけ硬くなったものを扱く…
うー。
旦那がすげえ見てる
恥ずかしいけど
これは俺が自分から相談したんだ。



「旦那ァ。折り入って相談したい事があるんでさァ。」


「んー?面倒くせぇ事なら俺ァ嫌だぜー。」


夜更けに万事屋を訪ねた俺にお茶も出さず
読んでるジャンプから目を離さずに
心底面倒そうに言った。


相変わらず旦那らしぃや。
と、妙に感心しながら
俺は今から口にする言葉に心が折れてしまわぬよう
息を深く吸い込み、大声で言った


「エロDVD俺にみして下せィ!!!」


「はあ!?」


旦那の間抜けな声が返ってくる。
そりゃそーか
いきなりこんな事言われたら
誰だってそうなるよな。
それでも俺には後に退けない理由が二つあった。



一つ目は…インポなんじゃねーか!


二つ目は…旦那が好き。
だけど旦那は女が大好き。
一緒にエロDVDを見て、女に興奮する旦那を見れば
この気持ちも諦められるかもしれない。


二つ同時に確かめるべく
俺は一つ目の悩みだけを旦那に打ち明けた。


しばらくぽかんとしていた旦那が妖しく笑う。


「いーぜ。
今日は神楽も新八も居ねぇしな。
じゃあ、早速みるか!」


と言うと立ち上がり旦那の部屋に案内され、今に至る。


「うーん…」

「自分で扱いてもダメか?」

少し心配そうに聞く旦那に

「へィ。」

とだけ答える。

そりゃ、男優なんざ滅多に画面に写んねぇか。
でもこれだと
インポじゃなくて…
旦那になら起つって事にならねぇか?
新たな悩みに頭を捻らせていると
旦那は特に気にとめた様子もなく

「ちょっと試してみるか。」

と言い、俺に近づく。

「試す?なにを?って、わっ!
だっ旦那!?なにしてるんでィ??」

戸惑う俺なんかお構いなしに旦那の手が俺の下半身に延びる。

「いやさぁー。
ただたんに、エロDVD見すぎて見飽きただけで
人にされりゃ、反応すんのかなーって」

あっけらかんと言ってのける旦那の手を慌てて抑える。

「ちょっ、旦那!
やめて下せィ!!
さすがに旦那にそこまでさせるわけには…んっ!」

「まあまあーいーから。物は試しだろ?
それに、一回受けた依頼は最後までやり通すのが
銀さんのポリシーなわけよ。」

「い…依頼?」

「そ。だって、そうでもなきゃ俺んとここねぇだろ?
お前んとこなんて、男ばっかだから
そーゆーのいっぱいありそうだし。」


ズキリ。と胸が痛んだ。


そりゃ、そーゆーのはいっぱいあるけど
依頼なんかじゃなく
俺ァ旦那だからここに来たのに…
そう思ってはいるが
伝える事なんか出来るわけねぇ
諦めるためにもここに来たんだ。
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