***sTorY***

□卒業式
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「くっそ何処行ったんでィ!土方の野郎」


普段なら
会わなくてすむなんてせいせいしますぜィ
くらいの憎まれ口を叩く俺だが
あんな顔をした土方さんを見たら
なんだか無性に放っておけなくなって
三月のまだ寒い時期に汗だくになりながら土方を探し走り回っていた


あ。そいや、鞄。俺達、鞄を教室に置いたままだ。
まだ教室に居るかもしんねぇ。
そう思い付いた俺は足に一層力を入れてスピードを上げた。



「やっぱりここに居たんですかィ。土方さん」

「!?」

「なに鳩が豆鉄砲くらったみてェな顔してんですか」

「総悟こそ…帰ったんじゃないのか?」

「か、ば、ん」

「ああ…鞄。」


ちょっとガッカリしたような土方さんの声に気付いた俺は意地悪な声で聞いた。


「追いかけて来てくれた。とでも思ったんですかィ?」

「そっそんな事、思ってねーよ…」



拗ねたように口をとがらせ俯く土方
わっかりやすいなぁ〜。



「追いかけてきたんでさァ」


「!?なんで!?やっぱりさっきのキス怒ったのか!?でもあれは謝っただろ!」

「謝まって済むと思ってんですかィ?最後だからって理由だけでキスされた俺の身にもなって下せェ。ありゃ何の嫌がらせでィ。」


「だって、最後だから。今日で学校。」


「わかってますよ。んなことくらい。卒業式なんだから。今日。そんで?」

「そんでってお前アレだよ。最後だから記念にだなっ。第二ボタン感覚でーって」


第二ボタン感覚でファーストキス奪われた身にもなってみろ!!!


「土方さん。真面目に答えないと、そろそろ本気で怒りやすぜィ」


しばらく口をパクパクさせていた土方さんが
意を決したように目をギュッとつぶり一気に吐き出した!


「好きなんだよ!!総悟が!ずっと、ずっと前から!だからもう会えなくなると思ったら…淋しくて…俺…」


好き????
土方が?俺を?
口をポカーンと開けた俺に土方は言葉を続けた。


「やっぱり気付いてなかったのか。そうだよな、総悟は近藤さんの事しか見てなかったもんな。」


いや、待て。
そういや、野郎はいつも俺の側に居た。居てくれた。
辛いときや悲しい時にこそ、俺をあの大きな手で優しく包んでくれてた…
それは、俺を好き…だから


じゃあ俺は?


俺は…そんな土方さんに甘えて、頼って
この人が居れば何があっても大丈夫って
そんで、さっき、最後ってゆわれてすっごく嫌な気分になって
もしかして…俺…


「ぷっ!あははははは!!!」


「おまっ総悟っ何笑ってんだよ!人が真面目に答え…」


喋ってる土方さんにお構い無しにキスをした。


「そっ総悟!?」


顔を真っ赤にした土方さんに俺は


「土方さんに笑ったんじゃないんでさァ。土方さんの気持ちどころか、自分の気持ちにすら気付いてなかった自分に笑ったんでィ。」


「自分の気持…ち?」


「そ、自分の気持ち。土方さんと一緒なんだなぁって…なんで俺がこんな恥ずかしい事ゆわないといけないんでィ!って、ちょ!なにしやがんでィ!」



いきなり抱き着かれた俺はバランスを崩しそうになり
土方さんに強くしがみ着いてしまい
二人して床に倒れ込む。
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