inzm48劇場

□第零公演
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某月某日、某所

その日、新たなる光が生まれようとしていた。


そう、後に伝説となったアイドルグループ。


「inzm48」が。








「いよいよ、始まるな」

「そうですね」

口元に髭をたくわえた長身の男は、隣に立つ青年に声をかけた。

青年は静かに頷く。


二人の乗り込んだエレベーターは静かに上昇し、やがてその扉を開いた。


「俺達が、新たな光を生むんだ」

二人の目の前には、扉がある。

これから始まる、光の出発点。


「inzm48劇場」


ここから、夢が始まる。
ここから、時代が始まる。
ここから、新しい風が吹く。



「さぁ、行こう!豪炎寺」


男ーー久遠道也は、静かにその戸を押した。


客席の向こうに、まだ誰も居ない、光の当たらないステージがある。




「始まるんですね…」

豪炎寺が緊張した面持ちで呟く。


久遠は静かに目を閉じた。


光輝くスポットライト、鳴り響く歓声、歌声、そして……。




「オーディションの合格者、及びスカウトした者は明日、ここに来る」

久遠は言った。


「成功させましょう、絶対」


豪炎寺は力強い目で久遠を見つめた。

「あぁ」



二人は誰も居ない劇場で固い握手を交した。




始まる。
夢が、光が、
生まれる。


この場所で、ここから。



全ての、始まり。





〜第零公演 未来の扉〜
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