2

□あるぱか日和
1ページ/1ページ





「うわ〜、可愛いね〜!!」

ため息混じりにテレビを見つめているのは、俺の恋人である吹雪だった。


お前の方が可愛い。なんて言えば、照れ隠しに殴られる、もしくは蹴られる、もしくはその両方が課せられるのは明白なので、喉元まで出かかったその言葉をつぐみ、テレビに目をやると、白い、羊のような動物が映っていた。

何だったっけな…?

考えてみてもその名前は一向に浮かばない。


「吹雪、コレ何て動物だっけ?」

「アルパカだよ」


吹雪の方に目をやると、よほど夢中なのか、こっちには一瞥もくれずに返事が返ってきた。


そうか…アルパカか。

アルパカ…アルパカ……と、頭の中でその妙にクセになる名前を唱えながらぼんやりとテレビを見つめると、何故かアルパカと目が合った。


何とも言えずのほほんとした顔に、ふわふわの巻き毛。触ったらさぞかし気持ち良いだろうに。

しかしこのアルパカ、誰かに似てるな。



そんなことを思っている内にアルパカの出番は終わったらしい。
テレビにはどうでも良いようなCMが流れる。


「可愛かったね!」



いや、お前が可愛い……と、いう言葉が反射的に飛び出しそうになる。

駄目だ駄目だ。殴られる事は明白だ。

やっぱり安全にそんな事を言うのは夜の行為中のみに限る。

昼間の吹雪も良いけど、夜の吹雪もよりいっそう可愛い……。


と、昨日の夜の事を思い出していたら口元が緩んでいたらしい。


「風丸ー?何ニヤニヤしてるのー?」

頬を指でつつかれる。
畜生、可愛い事しやがって…!!


ふと、吹雪の方を見れば、どこか楽しげな顔で自分の指先と俺の頬を見つめていた。


この顔は……。
そしてこのふわふわした感じ……。



「お前…アルパカに似てるな」

「え?」


頭に浮かんだ時にはもう声になっていた。


そんな事を言われた吹雪は、一瞬きょとんとしてから、顔を真っ赤にし、

で…どうするんだ……

と、身構えた時にはもう遅かった。

強烈なパンチが俺の頬にヒットした。



「へ、変な事言わないでよっ!」


吹雪は、俺にそう言い放つと、部屋を飛び出していった。

俺は、口内に広がる鉄の味を感じながらそんな吹雪を見つめていたのであった。






あるぱか日和

(今日も平和だな……)




――
珍しいほのぼの(笑)
ほのぼのが珍しいってどうなってんの私の作品傾向←

ちょっとツンデレな吹雪くんと変態丸さんええじゃないか!←

更新遅くてすいません(汗

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ