Get&Gift

□ふぶきゅんはメイド様!
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兄が気絶するのを確認した後、音無は残された三人を見て、意味深な笑みを浮かべ去って行った。

「これで暫くは妄想のネタが尽きません!」と嬉しそうに呟きながら。


音無が去ると、途端に静寂が訪れた。

それは、緊張感を孕んだ、決して心地良いものでは無かった。

その発信源である風丸と円堂の間にはサッカーをしている時以上の闘志がみなぎっていた。


「風丸…」

「円堂…」

「ついに、お前と争わなければならない時が来たな…」

「あぁ、来てしまったな……」


二人の様子はさながら、少年漫画における宿命のライバル同士の最後の決戦のようであった。
そして、吹雪というヒロインも居た。「争うのはやめて…。誰かが傷つくだけよ……」とか言ってる系の。欝陶しいが大低可愛いから許される感じのヤツだ。最もこの場合であれば、その争いの火種は当の本人なのだが。
その上、彼らの足元にはかつて共に戦った仲間がいる。彼らの想いはきっと風丸と円堂に託されたのだろう。少なくとも、良い話にする為にはそれくらいの曲解が必要であった。


これは、実はただの日常のほのぼのとした話ではなかったのだ。

4人の男達が、己の夢(吹雪の背中のファスナーを上げる)を叶える為に尊い命をぶつけ合う超絶バトルストーリーであったのだ。


そして、ついに最後の決戦の時がやって来たのだ。



二人は、真っ直ぐな目で吹雪を見た。

「な、何…かな?」

吹雪はたじろぐ。


「あー、やっぱり可愛いな、吹雪」

円堂はどこか切なげにそんな事を呟いた。

「ホントだな。見てるだけで癒されるしマジ天使だよな」

風丸もそれに応える。

「やっぱ、俺吹雪が好きだ。誰にも渡したくない」

「それは、俺も同じだ、円堂。俺だって吹雪を自分のものに出来たらどれだけ嬉しいか…」

「でも、吹雪に好きな人は二人も要らない」

「だから…決着をつけるんだろう?」



二人はじりじりと吹雪に歩みよる。

吹雪は後ずさった。



そして、


あまりに二人が不気味だった為、恐怖が限界を超え、ついにドアを勢いよく開けて部屋から逃げ出した。



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