Dream
□未来の約束
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レンはあたしの事どう思ってるんだろう。好きなのもあたしだけなのか…。最近、好きって言葉はあたししか言ってない気がする。レンの口からは聞いてない気がする。必ず好きだよ、の後は俺も、と短い返事だったから。
友達から聞いた話によると、レンはあたし以外の女の子にも手を出しているらしい。その女の子は同じ学年のリンちゃんだとか、先輩のミクさんだとかグミさんだとか。卒業生の女の子にまで手を出す始末。
あたしより可愛い女の子と関係を持つなんて、それじゃああたしなんてどうでもいいじゃないか。あたしもまた浮気相手の一人で本命は他に居るのだろう。そう思うと、あんなヤツに引っ掛かった自分が情けなくて悔しくて、涙が溢れた。
もうこれ以上傷付きたくなくて、あたしはレンに別れよう、と簡素な文章を送った。すると、すぐメール…じゃなくて、電話が掛かってきた。一瞬出るのに躊躇ったが、鳴り止まないメロディにあたしは通話ボタンを押した。
『……もしもし…?』
<ねぇ、なに? あのメール。別れようって、冗談言わないでよね>
怒りの篭った声にあたしは怯むが、それでも言葉を振り絞った。
『…あたし、聞いたよ?』
<は? 何を>
『…レンがあたし以外の女の子と関係を持ってるって』
嫉妬が溢れ出す。きっと声に妬ましさが滲み出ていた。
レンは数秒、何も言わずに沈黙となった。
<……それで? お前はそれを信じるの?>
白々しい態度にあたしの張り詰めていた糸がプツッと切れた。
『信じるの? だって? 実際そうじゃないの!? あたしが遊ぼうって誘ってもごめん、用事がある、の繰り返し! 好きとも言ってくれない! 友達があんたと他の女の子連れて歩いてる姿見てるんだから! ……あたしは一体何なの? レンの遊び…なの…?』
一気に言いたい放題口から吐き出して、言い終わる頃には息が乱れ、整える為に肩で呼吸した。
<……>
『図星つかれた? 何も言い返せないって事は図星なんでしょ?』
<…ふっ、あはははははっ!>
此方は真剣な話をしているのに、突然レンは笑い始めた。
『…何が可笑しいのよ』
<その女の子ってリンやミク姉のこと?>
『そうよ…え? ミク姉…?』
ミク姉…って、何でミク先輩をミク姉って呼んでるんだろう?
<教えてなかったっけ? まぁ公にしてないから知る由ないか。リンは俺の双子の姉だよ。ミク姉だって姉弟なんだ>
『えっ…姉弟!?』
凄い…美人姉弟なんだ…。
私が感嘆していると、レンがねぇ、と私の名前を呼んだ。
<俺の好きなヤツはお前だけなんだよ。これからもずっと一緒に居たいって思うし、手放したくない。…だから、別れようなんて言うなよ>
先程の強い口調とは打って変わって弱々しい口調。本当に私のことを想ってくれてるんだと実感した。
『うん…ごめんね、レン。あたしもレンのこと大好きだよ』
<当たり前>
何時もの調子を取り戻したレンにあたしはくすっと笑みを溢した。
電話を切る直前にレンが、<一生幸せにするから。お前の左の薬指は俺のモノな>と言った。一瞬理解が遅れて、それが何のことか分かった時に電話は切れた。恐らくそれはレンの照れ隠しだろう。
あたしは携帯を両手に握り締めたまま座り込んだ。
明日学校で会ったら、『絶対大事にしてよね』と言おうと心の中で決めた。
END
2011.04.23
ヒロインちゃんとレンくんは学生さんで16歳くらい。