coupling

□好き“だった”
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*緩い表現ですが、一応裏になりますので苦手な方はバックプリーズ













































彼は自分の姉であるリンが好きだと言った。


それを聞いたあたしは頭が真っ白になった。
だって…あたしは彼が好きなのだから。


彼は頭を抱え、もうリンと同じ家に居るのは辛い、同じ空気を吸うのは辛い、と泣きそうな声で言った。彼の精神的にも欲望的にももう限界なのだろう。誰だって恐らく自分が想いを寄せている人が四六時中家に居たら、話すだけじゃ物足りなくなる。触りたい、なんて欲が出てくる。彼が言う分に彼も今そうなのだろう。自分の姉とはいえ、好きな人に触れたいのだろう。


あたしは目を伏せ、暫し考えた後、彼にこう提案した。



「じゃあ、あたしをリンだと思い込んで抱いてよ」

「……え?」



あたしの突拍子な言葉に彼は顔を上げ、驚いた表情であたしを見た。



「髪を金色に染める。染めても彼女とは顔つきが違うから、目隠しでもして…レンが好きな様に気が済むまで抱いて」



あたしの想いは言わない。ただでさえ彼は自分の想い人で頭一杯なのに、混乱を招きたくない。



「グ、グミ…おまえ何言って…」

「もう性欲が限界なんでしょ? 自分で抜いても抜き足らない程に。でも、本当にリンとする訳にはいかない。その思いが今のレンの理性に歯止め利かせてるんでしょ?」

「……」



高校生にもなれば性衝動は強くなる。今の彼の顔を見たら分かる。リンは大事、だけど触りたい。けれど、血の繋がった姉弟じゃそれは無理だ、って理解はしてるけど、この欲望は止まらない…という所だろう。それに、これをリンに知られたら嫌われるかも知れない、もう目も合わせてくれない、と思っている事だろう。



「…どうするの?」



彼は散々沈黙を貫き通した後、ぎこちなくあたしの手を取り、あたしにキスをした──。











「……っは…あっ…んんっ……」



彼を中で感じて、無意識の内に腰が揺れる。彼も必死になって揺らす。時々漏れる彼の掠れた声がより快楽を増す。もう代わりだろうとなんだろうと構わない。今こうしているだけで良かった。



「……っ、も、イく……っ!」

「あっ、あああ───ッ!!」



彼はゴム越しにあたしの中に欲望を吐き出した。出し切る様に数回ユルユルと腰を動かした後、あたしの中からソレを抜いた。その時に彼が聞こえない様に呟いたつもりだろうが、リン、と名前を呟いたのをあたしははっきりと聞いた。終わってから、あたしに罪悪感が芽生えたのだろう。申し訳なさそうに目を伏せて、部屋を出て、別れるまであたしと目を合わせなかった。


あたしは遠ざかっていく彼の背中を見つめながら、一粒の涙を溢した。


さよなら、大好き“だった”あの人よ。




2011.05.20


グミちゃんはレンくん好き。けれど、レンくんは姉であるリンちゃんが好き。レンくんの恋は叶う筈もないから、グミちゃんが自分を犠牲にしてレンくんにリンちゃんの代わりに…、というお話でした。


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