捧物SS
□アナタノ、トナリ
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長閑な午後の一時は、ユーリの一番大好きな時間。
柔らかな陽射しと、薫り高い紅茶と甘いお菓子。そして大好きな人たちの笑顔。
出来れば、そう贅沢を言えるなら任務に勤しんでいるだろう彼にいつもいて欲しいと思いながらお茶を口にした。
「ねぇ、渋谷。ところで、君は小シマロンからの招待状の一件はどうしたのさ」
村田は、何の気なしにその台詞をさらりと口にした。
その場は一瞬沈黙し、ユーリの言葉で場はまた元に戻った。
「あぁ、それ?行くけど、それがどうかした?」
「それさ、僕も付いて行っていいかな?」
「いいんじゃない?なぁ、グウェンダル。大丈夫だよな」
グウェンダルは一度目蓋を閉じてからゆっくりと開き、口を開いた。
「まぁ、問題はないだろう」
「ですが、その旨は先方に知らせないとですよ。グウェンダル」
やんわりと諭すギュンターに小さく頷いてからグウェンダルは言った。
「猊下がご一緒する旨はこちらから、伝えておこう。出発は、明後日だったな」
「えぇ、急がないとですね」
「うむ」
年長組みが快く承諾してくれた事にユーリは嬉しくなり、村田に向かって笑顔で言った。