捧物SS

□I wish…
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初夏の日差しが差し込む午後の教室で、クラスメイトと有利はカードゲームに興じていた。
ゴールデンウィークも終わり、何の気なしに皆口々に過ごしてきた報告紛いの話をしていた。何人かには既に彼女がいるのだが、デートに行ったと楽しげに話していた。

「で、渋谷はどうよ?どっか行ったとかは?噂じゃ、いいとこのお坊ちゃん的なって聞いたからさ、海外とか行ってきたんじゃねぇの?」
「は?おれんち、フツーだって。金持ちじゃないし、この連休だってほとんど家に居たし。行ったって言えば、西武ドームと村田んとこだけ」
「村田?」
「中学ん時の友達。お前らみたいに彼女いないおれには、淋しい連休このうえなしだね」
「お前さ、見た目ジャニ系っぽいじゃん」
「そうだよなぁ、渋谷ってよくみりゃ可愛いよな。その上華奢だし」
「そうそう。俺の彼女なんてさ、渋谷君可愛いのに彼女いないの変だって言ってたしな。で、お前面食いなのか?」
「お前ら、言いたい放題言いやがって。可愛いとか華奢なんて言われて嬉しい男がいるわけないだろう。それに、哀しい位にモテないんだよ。くっそー、彼女がいるからって何だよ」
「まぁ、怒んなって渋谷。あ、俺ウノ!」
「えぇ?マジ?」

あれよあれよという間に、有利以外は終焉を向かえ残ったのは話のネタにされ続けた有利だ。

「だぁー、ついてねー」
「ぎゃはは、渋谷、そう落ち込むなって。これからお前の好きなドーナツ屋にでも寄って行こうぜ」
「・・・お前らのおごりならな」
「しゃーねーなぁ。おごったるわ」
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