捧物SS
□Snow Rose
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今日も平和な時間が流れている、ここ眞魔国で相変わらず眉間に皴を寄せている人物が一人。
その視線の先には、書類の上に涎の池を作りながら幸せそうに惰眠を貪る王。
ふるふると怒りに揺れる両拳が、彼の心情を如実に表していた。
「起きんかっ!バカ者」
怒号と共に鉄槌が落とされた。
「んぎゃ!」
安心しきって寝ていた所に喰らった拳は、ユーリの目を一気に覚醒させた。
「ってぇ…誰だ…よ」
叩かれた場所を摩りながら、ユーリは顔を上げそして一気に青ざめた。
「…あぁ〜、えーっとデスネ」
しどろもどろになりながらもユーリはグウェンダルを見上げると、いつもに増して不機嫌そうに見下ろしている。ユーリは視線を泳がせながら、ガバッと頭を下げた。
「ごめんなさい!グウェンダル。つい眠気に負けました」
王が家臣に頭を易々と下げてしまうのは、良くない事だと常日頃言っているのに、ユーリは理解していないのだろうか。グウェンダルは溜息をつきながら言う。
「寝るのなら、別の場所にしろ。書類が汚れるからな。それと、何度も言っているのだが、王ともあろう者が簡単に頭を下げたりするな。いいか解ったか?」
「う…分かってるよ。でも、自分が悪かった時はするのが、当然じゃ…」
ユーリの言葉を最後まで告がさないように、グウェンダルはギロリと睨んだ。
「すみません…」