Story
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あれから、頭の中から消えない。記憶からどうしても消えない。
一体どういうことなのか、全然分からない。
目を閉じても、ぼやっと浮かんでくるし、他のことを考えている時でも湧き上がってくる。
しかも、その時は決まってなんだか頭の中がふわ〜っとして、顔がニヤけてくる。
その人は言った。
「天草流の秘密を御存じですか?」
流の秘密???
「いずれまたお会いするでしょう………ンフ」
流の秘密…………。でも僕は流を信じてるし………うん。…………それより、ンフ……って何だろ。ンフ………。ンフって。なんかいいな〜………可愛いな。でも年上の人に可愛いとか思ったら失礼だよな……
その時だった。いきなり隣でバンッと音がした。
いきなりだったからビックリして振り向くと、メグがこちらを思いっ切り睨んでいる。
「………ちょっとキュウ!!さっきからニヤッニヤして気持ち悪いんだけど!!!!」
「え!!?……あ、ごめん………!」
そうだ、今は探偵事務所で、メグと前回の事件について話して、ファイリングしてるんだった!いけない、こんな時に何考えてるんだろう僕は。メグを見ると、完全に機嫌が悪くなってる。
「ごめん…………で、なんだっけ……??」
溜め息をつくと、椅子の背もたれに寄り掛かり、僕をじっと不審そうな感じで見てくる。
「…………キュウさ、やる気あんの???」
「え!!?…………勿論あるよ!!!目茶苦茶やる気あるよっ!」
メグは更に溜め息を吐き出した。
「………あんた、ちょっとおかしいよ最近。」
「え………???うん…………」
おかしい………確かにメグの言う通りだった。最近僕はおかしい。
ことあるごとにあの「ンフの人」に会った時のことを繰り返し思い浮かべてはニヤけてる。
「………………なんかあったの???」
「………あのさ、メグ、………瞬間記憶能力って、一部のことにだけいきなり出てきたりするもんなのかな??今まで無くて、これからも無いんだけど、その一部だけずっとあるみたいな。」