絵本
□この感情に名前をつけるとしたら
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「むくろ」
「なんですか?綱吉君」
「どうしてそんなに悲しく笑うの」
「クフフ、悲しい?僕が?馬鹿馬鹿しい」
「実験、辛かった?」
「何故そんなことを?」
「死ぬの、怖かった?」
「いいえ。死は、逃げ道です」
「寂しかった?」
「サミシイとは、なんですか」
「俺がいなくなったら、いや?」
「いや、と言うよりも、つまらなく、なりますね」
「それは、寂しいって言うんだよ」
「さみしい、ですか…」
「おいで、骸」
優しく優しく抱き締めた。
「泣いても、いいんだよ」
そう呟いて、俺は泣いた。
こんなに素直な、悲しい少年を想って、泣いた。
「もう、さみしくないよ」
大丈夫。
「俺が側にいてあげる」
(だから、そんな悲しそうに笑わないで)
■俺は一生、檻のなかでもかまわないから■
えんど