梔子隊

□第一話
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次の日、夜一に連れられて謎の腕のオブジェのある家にやってきた。


「ほあー、個性的な標札だねぇ」
「あれを個性的で済ませていいのだろうか………」


夜一を先頭に一行は建物内に入ってゆく。


「空鶴はおるか!」


建物の内部は普通で、日本古来の屋敷といった風貌だ。


「今行くからちょっと待て!」


奥の部屋から女性の声で返事があった。
それから暫くすると、奇抜なファッションの女性と黒崎と同じ服装の赤髪の青年が出て来た。


「え………なん、で?」


思わず漏らした幸村の呟きに誰も気が付かない。


「調べもん、頑張れよ」
「おう。お蔭さまでリフレッシュ出来たしな。また来るぜ、空鶴」
「今度は太一も連れて来い」


帰る為に出口を向いた赤髪の青年は思いもしていなかった人物を見つけ、動きを止めた。


「ゆ、幸村……君?」
「え? なんでブン太がここに? 此処って死後の世界じゃ………」


丸井の頭の中を灯馬送の様に記憶が流れていく。


「………なんでだよぃ、なんで真田君が部長で当たり前だって思えてたんだよぃ!」


丸井は幸村の胸倉を掴み、叫んだ。


「やっぱり、世界から俺の記憶は消えてたか」


だが、幸村は丸井の問いに答える事なくそういった。


「何だか知らねえが、喧嘩なら他所でやれ!」


空鶴の怒鳴り声で幸村から手を離した丸井は


「…………悪い。ちょっと部屋借りる」


幸村を連れて他の部屋へと移動をしたのだった。






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