IFの世界のIFの話

□丸井誕生日記念
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そして、その日の放課後。
レギュラー陣はきちんと全員真田の家にやって来た。
運動着に着替えた人から順番に防具と竹刀を一人一つずつ借りる。


「あれ? 竹刀が一本足りませんよ?」
「あー、じゃあ、俺木刀借りていいか?」


道具が足りない分、普段から稽古をしている丸井が木刀を使う事で全員に行き渡った。
前半は真田と真田のおじいちゃんが指導をし、後半は対戦する事になった。


「ふむ、なかなか筋がいいな」
「マジッスか!? あざッス!」
「すまない、精市」
「両手持ちはやりにくいですね………」
「仁王! だからこうだっつってんだろ!」
「大丈夫だよ、蓮次」
「ファイヤー!」
「ピヨ」


剣術経験者ばかりなので、思っていたより手がかからず真田祖父は感心した。


「ウム、思っていたより皆やるな」


柳とジャッカルがコツを掴むと、一度休憩を挟み試合をする事になった。


「遠慮はいらねーぜぃ」
「そういうブン太もね」


やりたい人順に順番を決めたら一番始めの試合が丸井と、竹刀から木刀に持ち替えた幸村の死神組だった。


「幸村も丸井も防具を着けんか!」
「防具はあった方が動き難いんだよぃ」
「それに、『試合』じゃないしね」


真田の文句を聞き流して動き出した。
最初は軽く叩きあう程度だったが、段々と激しく、本気で打ち合う。
ある人は参考にしようと、ある人は純粋に驚き、ある人はデータをとろうと真剣に二人の稽古を見守った。


「隙在り!」


木刀を持つ手に強烈な一撃を叩きこみ、幸村の手から木刀をたたき落とす。
そして、幸村の首元に木刀をつきつけた。


「あーあ。また負けちゃった」
「まだまだだぜぃ」


丸井が幸村を引き起こして次の二人に交代しようとした。


「丸井、俺と手合わせしろ」
「え、………………あー、まあ、……いいぜぃ」


だが、真田に引きとめられ、二試合目に突入する事になった。
初めっから全力の真田と、分からないようそれとなく手を抜いた丸井の試合が始まる。


「容赦はせん、本気で来い!」
「真田もな」


最初は丸井の防戦一方だった。
このまま真田の勝ちかと思われたその時、


「!?」
「………あれ?」


真田が放った敵意に無意識で反応してしまい、胴が綺麗に決まってしまった。
その上、防具が砕け真田も吹き飛ぶ。


「わ、わりぃ! 真田」
「丸井………なかなか、やる……な」
「力を抑えてるとはいえ、全力だったぽいし、無理して喋るなよぃ」


丸井の本来の力を知る赤也はその光景がツボだった様で、必死に笑いを堪えている。


「丸井に防具を砕き、真田を吹き飛ばす力があったとは………」
「力だけじゃないよ。何処に当てれば物が壊れるか知っている」
「成る程……。それにしても、俺のデータにはあそこまでのパワーと、剣道の経験は無いとあるのだが」
「多分それは――――」


柳が分析をし、幸村が補足をする。
テニスコートで良く見る光景だが、今は酷く場違いな光景であった。


「お二人さん、真田はどうするんじゃ?」
「あ」


柳生と丸井、それから笑いが治まった赤也の三人が部屋の端へと運んでいた。


「丸井先輩! 次は俺とやって下さいよ」
「おう、いいぜ」





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