梔子隊

□第四話
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ぱこーん ぱこーん ぱこーん


神奈川県某所のストリートテニス場で四人の人間がテニスを楽しんでる


筈だった。


「はっ!」
「温い!」


真田が赤也のボレーをスマッシュで決める。


「40‐15」
「クソッ、次行きます!」


赤也は誰から見てもどこか焦っている様に見えた。


「切原君………」


ベンチで見守っている柳生と柳も心配そうだ。


「葛を入れてやりたいのは山々だが、原因が分からないと意味をなさないからな……」
「………仕方ありません。あまり気は進みませんが」


柳に聞こえない声で柳生はつぶやいた。
一方コートでは、真田が手を抜いて試合している事すら気がついていない赤也は自分に言い聞かせる様に何か呟き続けている。


「………な……、つ…く………だ、つよ………る……、強く………なるんだ」
「侵略する事、火のごとし!」


ラケットごと吹き飛ばされた。
それでもすぐにラケットを握りしめて立ち上がる。


「……一度休憩にしよう」


そんな赤也を見てられず、真田は試合を中断した。


「何でですか! 俺はまだ……!」
「いい加減にしなさい!!」


ベンチにいた柳生は大声を上げた。


「柳生、先輩…」
「割り切れとは言いません。だけど、『俺』と『私』は区別しろ! 幸村君を知ってる『俺達』と知らない『私達』位は! お前がどんな気持か分からなくもないが、焦って体壊したら意味がねーだろ! 『このメンバーで全国三連覇』には赤也、お前も入ってるんだぞ! カルロも赤也もセイが、幸村君が大好きなのは分かってる。だけどな、それは俺達も同じなんだよ!」
「あ……ごめん…。ありがとう、ブロード……」


少し無理して笑う。
だがその無理は今までの焦っての無理ではなく、悲しくって泣きだしそうなのを隠しての無理だった。
それを見た柳生はフッとほほ笑むと赤也の頭に手を乗せる。


「気にすんな。今更そんな事気にする仲じゃねーだろ?」
「……おう(いつの時代も敵わないな……)」


柳生の顔を見てそう思う赤也だった。





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